尿素とは肝臓で作られている物質の1つで、やがて体外へ排出される尿の成分です。

このため、腎臓の検査によく用いられますが、肝機能の状態を知る手掛かりにもなるため、

肝臓の検査としても使われます。

ここでは、肝機能検査として見る場合を中心に、血液尿素窒素検査についてわかりやすく解説します。

血液尿素窒素(BUN) とはどういうものか?

私たちは、たんぱく質を分解してエネルギーを得ています。

このとき、“アンモニア”という有害な物質が発生しますが、

これを肝臓で無害化したものが“尿素”です。

尿素には“窒素”という分子が結合しており、この窒素のことを特に“尿素窒素”と呼んでいます。

尿素窒素は、最終的に腎臓でろ過され、尿として体外に排出されますが、

肝臓から腎臓までは血液によって運ばれます。

この時の血液中の尿素窒素を測定したものが“血液尿素窒素”です。

 

基準値の見方

検査結果の基準値には範囲がありますが、この値は検査機関や検査方法によって多少異なります。

目安となる数値を以下の通り挙げますので、参考にしてください。

検査結果が手元にある場合は、その検査機関や方法による基準値が明記されているので、

そちらを優先してください。

それでは、基準値を見てみましょう。

血液尿素窒素の基準値
血液検査の項目基準値
血液尿素窒素(BUN)10~24 ㎎/㎗

 

なお、基準値とは「医学的に正常か異常かを判断するための目安」です。

なので、基準値内である場合は、基本的に問題がないと解釈できます。

 

血液尿素窒素の値は、たんぱく質からのエネルギー供給量により変動するので、

激しい運動のあとは数値が高くなります。

他に、発熱時や下痢など、体調でも変化します。

また、男性は女性より10%くらい高めであり、月経直前の女性も同程度の数値となります。

年齢とも関係があり、一般的に50歳をすぎると高くなってきます。

大きな変動でなく、他の検査で異常が見られなければ、

多少基準値から外れていても問題ありません。

 

検査でわかることと疑われる病気

血液尿素窒素の濃度は、腎臓のろ過機能が正常であるかを判断するのに用いられる検査です。

数値が高い場合はろ過が不十分であるとみられ、腎機能の低下が考えられます。

また、尿素窒素は肝臓で作られるので、

数値が低い場合は肝臓の機能が低下している可能性が考えられます。

 

具体的には、肝炎によって傷ついた細胞が修復を繰り返しているうちに線維化し、

肝臓全体が硬く小さくなる“肝硬変”や、肝炎の症状が急激に進み、

意識障害などの肝不全症状が出る“劇症肝炎”の可能性が考えられます。

また、肝臓がんでも低値を示すことがあります。

血液尿素窒素が基準値外の場合に疑われる病気
血液尿素窒素疑われる病気
高い腎機能の低下(腎不全、閉塞性尿路疾患)、糖尿病、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍など
低い肝機能低下(肝硬変、劇症肝炎、肝臓がん、肝不全)、尿崩症など

 

この検査では、数値が高くても低くても異常がある可能性を示しますが、

この検査だけで詳細を知ることはできません。

肝機能が疑われる場合はASTやALT、γ-GTPなど、腎機能の場合は血清クレアチニンなど、

他の血液検査と併せて疑われる疾患を絞り込むことが必要です。

 

低くなる原因

血液尿素窒素が基準値を外れる要因はいくつかありますが、ここでは肝臓の疾患に絞ってみてみましょう。

肝臓には体内の有毒物質を無害化する“解毒”という機能があります。

この機能が、血液尿素窒素の数値に影響しているのです。

すでに軽く触れていますが、もう少し詳しく説明しましょう。

 

たんぱく質はエネルギー源となったり様々な反応を促進したりする、

体にとって不可欠な物質ですが、

分解するとどうしても有害なアンモニアが発生します。

肝臓にはこのアンモニアを無毒化し、

無害な尿素を生成するための“オルニチン回路”という反応回路があります。

しかし、肝臓に何らかの障害があり、

この回路での反応が不十分になるとアンモニアから尿素が作れなくなります。

そうなると、血液中の尿素窒素の濃度も低下してしまうわけです。

これが数値の低くなる原因です。

 

上げるにはどうすれば良いのか?

血液尿素窒素の数値が低下した場合、肝機能の低下が原因であるならば、

その症状がかなり進んだ状態であることを示しています。

具体的には、肝硬変、劇症肝炎、肝不全といった場合です。

いずれも症状が進んでしまうと改善が難しく、特に劇症肝炎や肝不全は命にかかわります。

予防を心がけるようにしましょう。

 

劇症肝炎は薬物アレルギーやウイルス性の場合がほとんどです。

ウイルス性の場合、血液や体液を介して感染するケースはある程度注意することができますが、

原因不明なケースも多く見られます。

肝炎も進行すると肝硬変を発症するので、軽度のうちに禁酒や食生活の改善を行い、

肝臓に負担をかけないようにすることが一番です。

適度な運動と休息・睡眠も肝機能の回復には有効なので、

普段から心がけるようにしたいですね。