ケガをして血が出ても、しばらくすると“かさぶた”ができて血が止まりますね。

これは私たちの体の防御機構の一つ、血小板という成分のおかげです。

血小板の数は血液を生成する骨髄の検査として重要ですが、

実は肝臓も関与しているため、

肝機能を調べる項目としても利用されています。

ここでは、血小板の基準値や、血小板の異常からわかる肝臓などの疾患、

その改善方法について詳しくお伝えします。

血小板数(Plt)とは?

血小板は出血を止める役割をもつ、血液の大切な成分です。

血小板は血管が破けて出血すると、その部分に集まって固まり、

出血を止める働きをします。

それと同時に、血小板の中から“セロトニン”という物質が放出され、

これが血管を収縮させて出血量を少なくするように働きます。

さらに、血小板は“プロトロンビン”という物質に働きかけ、

血小板による凝固とは別の止血機能をサポートしています。

 

この血小板が血液中にどのくらい含まれているかを示したものが、

血液検査の項目にある“血小板数(Plt)”です。

血小板は骨髄で作られるので、血小板の異常があると、

まずは骨髄の疾患を考えますが、数値が低下している場合は、

慢性肝疾患の可能性も考えられます。

 

基準値および重症度の数値の見方

検査結果の基準値には範囲がありますが、

この値は検査機関や検査方法によって多少異なります。

目安となる数値を以下の通り挙げますので、参考にしてください。

検査結果が手元にある場合は、その検査機関や方法による基準値が明記されているので、

そちらを優先してください。

基準値

それでは、血小板数の基準値を見てみましょう。

血小板数の基準値
血液検査の項目基準値
血小板数(Plt)15万~35万個/㎕

 

なお、基準値とは「医学的に正常か異常かを判断するための目安」です。

なので、基準値内である場合は、基本的に問題がないと解釈できます。

また、血小板数の場合は、他の検査項目で異常が見られなければ、

基準値より高くても50万個/㎕くらいまでなら治療の必要はないことが多いです。

 

同様に、基準値より低くても10万個/㎕くらいなら出血が止まらないということもなく、

治療は不要と判断されるケースがほとんどです。

でも、その原因がどこにあるのかは調べておいた方が安心ですし、

定期的な検査を受けるなどの経過観察も必要となります。

重症度の判定

血小板の生成には肝臓が関与しているため、

血小板数の減少は肝炎の進行度(重症度)を示す指標となっています。

これは、血小板数の減少が肝炎による肝細胞の線維化に伴って進行するためで、

血小板の数から肝炎の進行具合を推測することができる、

というわけです。

線維化の状態を詳しく調べるには生検が必要ですが、

入院が必要になる場合もあるため、

まずは血小板数から進行度を推定するのが一般的です。

血小板数と肝炎の進行度の判定
判定 慢性肝炎 肝硬変 
F1F2F3F4
線維化の程度軽度中度重度肝硬変
血小板数(個/㎕)約18万約15万約13万約10万
10年間の推定発がん率5%未満15%30%70%

 

この表にあるように、基準値内でも軽度の肝炎を起こしている可能性があります。

このまま放置すると肝臓の線維化が進み、肝硬変になってしまいます。

血小板数が10万個/㎕以下の場合には、

肝硬変の可能性を疑わなければなりません。

 

また、肝硬変まで進行してしまうと、

細胞が癌化する可能性が高くなるので注意が必要です(血小板数と肝炎の進行度の判定表参照)。

肝臓がんは肝炎を発端とするケースがほとんどですので(後述の「検査でわかることと疑われる病気」参照)、

医師などの判定・指示に従い、速やかに精密検査を受け、

治療を開始しましょう。

 

低くなる原因

血小板の数値は高すぎても異常と判定され、原因の特定が必要となりますが、

ここでは数値が低くなる要因、

特に、肝機能障害によるケースを中心に説明します。

血小板数が低下する原因はいくつかありますが、

大きくは次の2つです。

 

1つは、がんや白血病などで骨髄の機能低下が起こると血小板が作れなくなり、

数値が低くなるケースです。

もう1つは、血小板の生成・破壊のバランスが崩れているケースです。

血小板は通常10日ほどの寿命を迎えると脾臓で破壊されますが、

肝臓の線維化に伴って、

脾臓での血小板破壊の量が正常時を上回っているために、

数値が低下している可能性が考えられます。

 

さらに、線維化による肝機能低下により、

血小板の産生をうながすトロンボポエチンという物質が作られなくなっている可能性も考えられます。

これらは慢性肝疾患の進行とともによく見られる現象です。

また、何らかの原因によって肝臓の血流が悪くなると、

血小板が破壊される量が増え、数値が下がることもあります。

 

検査でわかることと疑われる病気

すでに触れていますが、血小板に異常があると、まずは血液を作る骨髄の異常が疑われます。

骨髄の異常は基準値を上回っても下回っても考えられますが、

肝臓の疾患は下がった場合にのみ疑われます。

それでは、血小板数の検査からわかる疾患について見てみましょう。

血小板数が基準値外の場合に疑われる病気
血小板数疑われる病気
低い肝硬変、がん、白血病、突発性血小板減少性紫斑病、播種性血管内凝固症候群など
高い血小板増多症など骨髄の機能異常

 

ここでは一般論として“基準値より高い・低い”を目安にしていますが、

「基準値」の項で述べた通り、多少の逸脱は問題がありません。

血液を作る能力には個人差があり、

血小板も体質的に多い人・少ない人がいるからです。

ただし、他の血液検査項目と併せて考えて、疾患が疑われる場合もありますので、

医師などの指示に従い経過観察や治療などを行ってください。

それでは、疑われる疾患について、詳しくみていきましょう。

 

肝臓の検査項目として血小板数を見た場合、考えられる疾患は肝硬変です。

肝硬変とは、肝炎によって傷ついた細胞が修復を繰り返しているうちに線維化し、

肝臓全体が硬く小さくなった状態です。

肝細胞は線維化すると本来の働きができなくなってしまうため、

肝臓としての機能も低下してしまいます。

 

血小板数の検査では、表2で示したように肝臓の線維化の進み具合から、

肝炎の重症度を推定することもできます。

これにより、血小板数が10万個/㎕(F4)を示すようになると肝硬変と診断されます。

 

さらに、肝炎や肝硬変にかかると、がんが発生するリスクが高まってきます。

ほかの組織では健康な状態でもがんが発生しますが、

肝臓がんは健康な肝臓から発生することはほとんどありません。

肝炎や肝硬変を経て、肝臓がんに至るケースが多いのが特徴的です。

 

また、血小板数は骨髄疾患の指標として重要です。

これには、骨髄で血小板の母体となる巨核球が異常に増殖する“血小板増多症”、

骨髄での血液を作る能力が低下して血小板数が低下してしまう“白血病”、

抗体ができて血小板が破壊されてしまう“突発性血小板減少性紫斑病”、

出血がなくても体内の様々な部位で血液が凝固してしまう、

“播種性血管内凝固症候群”などがあります。

血小板数は、極端に多すぎても少なすぎても、異常の可能性が考えられます。

 

また、多すぎると血管内で凝固して血栓ができやすく、

脳梗塞や心筋梗塞の原因になりますし、

少なすぎると出血を止めることができないので、大量出血の危険があります。

異常値だからといって治療が必要とは限りませんが、

原因を調べてもらうようにしましょう。

 

上げるにはどうすれば良いのか?

血小板は脾臓で破壊されるので、脾臓を手術で摘出することによって、

血小板を増やすこができます。

しかし、脾臓を摘出してしまうと感染症にかかりやすくなるなどのリスクもあるため、

血小板の減少が著しい場合や、

他の方法で改善が望めない場合など、

摘出がやむを得ない場合に行われます。

 

また、薬(ステロイド投与など)を用いる方法もあり、

一部の血液疾患で使用されていますが、

肝硬変に伴う血小板減少には保険適応されないものもあります。

肝臓による血小板数低下の場合、

肝硬変まで症状が進んでしまうと自力での回復は見込めないので、

医学的処置を受け、血小板数を上げるようにしましょう。

 

一部では、ポリフェノールやへスペリジン(ビタミンP)などの、

ビタミン類が血小板の増加に良いといわれていますが、

科学的根拠に乏しいとの指摘もあります。

ただし、血液凝固に関わる多くの因子がビタミンK依存性のタンパク質であり、

肝臓におけるプロトロンビンなど凝固因子の生成を制御しているため、

ビタミンKの欠乏によって血液が固まりにくくなることはあります。

特に、新生児ではお産による外傷での出血を抑えるため、

生後1時間以内にビタミンKを投与されますが、

成人では、通常の食事でビタミンK不足になることはありません。

 

このように、ビタミンKは血液の凝固に関する重要な栄養素ではありますが、

直接的に血小板数を増やすものではありません。

まずは、肝臓の負担を取り除くことを考えていきましょう。

肝炎の段階なら軽度であればあるほど、早い回復が見込めます。

禁酒を含めて食生活を改善することで、

肝臓の負担を減らしてあげましょう。

併せて、規則正しい生活、適度な運動を心がけることで、肝臓は再生していきます。

肝機能が回復すれば、血小板数も上がっていきます。

たっぷり睡眠をとることも、肝臓を休めてあげることにつながりますよ。