もしかしたら、肝機能を調べる血液検査の中でいちばん知名度が高いのは、この“γ-GTP”かもしれません。

γ-GTPは飲酒と深い関係があるので、検査結果を気にしている人も多いのではないでしょうか?

ここでは、γ-GTPの詳細と、

異常があった場合の数値を下げる改善策についてわかりやすく説明します。

γ-GTP(ガンマ-GTP)とは?

γ-GTPとは“ガンマ-グルタミル・トランスペプチダーゼ”の略です。

たんぱく質を分解する酵素の一種で、解毒を助ける働きをしています。

肝臓の他にも膵臓・脾臓・小腸など多くの臓器に分布し、

肝機能の状態を示す指標として有名ですが、

実は、最も多く存在するのは腎臓です。

でも、腎臓に障害があってもこの数値の上昇は顕著ではありません。

むしろ、肝臓や胆道に何らかの異常があった場合に、明らかな上昇を示す傾向があります。

 

高くなる原因とアルコールとの関係

γ-GTPの数値が高くなるのは、肝細胞の破壊が原因です。

アルコールや薬物によって細胞が壊されると、

γ-GTPの生成量が増加し、血液中に溢れ出てくるため、数値が高くなるのです。

γ-GTPは、特にアルコールに対して敏感に反応する性質を持つため、

アルコール性の肝障害を判定する重要な指標となっています。

 

また、γ-GTP値と飲酒量の間には相関関係があることも明らかになっています。

一方で、お酒を飲まないのにγ-GTP値が高い人もいます。

その場合は活性酸素による酸化ストレスが原因と考えられます。

酸化ストレスは高血糖の状態が長く続くと発生することが知られています。

 

基準値および重症度の数値の見方

検査結果の基準値には範囲がありますが、

この値は検査機関や検査方法によって多少異なります。

目安となる数値を以下の通り挙げますので、参考にしてください。

検査結果が手元にある場合は、その検査機関や方法による基準値が明記されているので、

そちらを優先してください。

基準値

では、γ-GTPの基準値を見てみましょう。

表 γ-GTPの基準値
 基準値
γ‐GTP男性 11~95 IU/ℓ
女性 8~24 IU/ℓ

γ-GTP値の基準値は男性と女性で大きく範囲が異なります。

これは、肝臓の解毒能力がその大きさに比例することに由来します。

一般的に、男性は女性よりも体が大きいため、

肝臓のサイズも大きく、そのため基準値の範囲に違いが出てくるのです。

女性より男性に酒豪が多いのも、この違いによるといわれています。

なお、基準値とは「医学的に正常か異常かを判断するための目安」です。

なので、基準値内である場合は、基本的に問題がないと解釈できます。

 

また、γ-GTPの場合は、基準値未満であっても特に問題視されることはありません。

ただし女性の場合は、女性ホルモンの影響により数値が低くなることがあるので、

基準値内であっても上限に近い場合は気を付けましょう。

逆に、閉経後はホルモンの影響が少なくなるため、数値が急上昇する傾向があります。

重症度の判定

血液検査のγ-GTPの濃度から、肝機能の重症度を調べることができます。具体的には次の通りです。

表 γ-GTP値の重症度の判定
γ-GTPの数値(IU/ℓ)重症度の判定
男性 96~100
女性 25~100
軽度
101~200中等度
201~500高度
501以上超高度

この重症度は、治療の指標にもなっています。

一般的には判定が軽度で他に異常がなければ、

飲酒を含めた食生活の改善で肝機能の回復を図ります。

中等度以上の判定では、医療機関での治療が必要となりますので、

速やかに医師の診断を受けた方がよいでしょう。

 

検査でわかることと疑われる病気

前述の通り、γ-GTPの数値はアルコールの摂取量と深い関りを持っています。

そのため、γ-GTP値に異常が見られると、まずアルコール性の肝障害が疑われます。

他にも、肝臓がん、慢性肝炎、肝硬変、胆道閉塞、薬剤性肝障害など、

多くの肝疾患の可能性が考えられます。

 

肝炎は肝臓が何らかの原因により炎症を起こしている状態です。

(γ-GTP値が高い人はアルコールによる可能性が高い)ですが、これが進行すると肝硬変になります。

肝硬変とは、肝炎によって傷ついた細胞が修復を繰り返しているうちに線維化し、

肝臓全体が硬く小さくなった状態です。

肝細胞は線維化すると本来の働きができなくなってしまうため、

肝臓としての機能も低下してしまいます。

 

さらに、肝炎や肝硬変にかかると、がんが発生するリスクが高まってきます。

ほかの組織では健康な状態でもがんが発生しますが、

肝臓がんは健康な肝臓から発生することはほとんどありません。

肝炎や肝硬変を経て、肝臓がんに至るケースが多いのが特徴的です。

 

また、肝臓と十二指腸を結ぶ管(胆管)が何らかの原因で閉塞していると胆管閉塞をおこします。

肝臓で作られた胆汁が排泄できなくなる病気です。

 

一方で、他の疾患の治療のために服用している薬が、肝障害を引き起こすことがあります。

薬の量が肝臓の処理能力を超えてしまう場合におこる薬剤性肝障害です。

抗生剤や鎮痛剤などの過剰服用で起こりやすいほか、

体質によっては薬剤に対するアレルギー反応により肝障害を起こす場合もあります。

 

しかし、γ-GTPの数値だけでこれらの判断を行うことはありません。

健康診断などで血液検査を受けた場合には、同じく肝機能の状態を示すASTやALTの検査も

同時に行われていることが多いので、ほかのデータも併せて総合的に判断するのが一般的です。

例えば、

  • γ-GTPとASTが高度、かつALTが中等度の判定 → アルコール性肝炎
  • γ-GTPが軽度、かつASTとALTが中等度の判定 → 慢性肝炎、肝硬変

という具合です。

 

このように、検査結果によって疑われる疾患の絞り込みが行われたのち、

精密検査によって確定診断を得ることになります。

なお、肝疾患以外でも急性心筋梗塞、脳血管疾患、慢性膵炎、膵臓がん、糖尿病などが原因となって

γ-GTP値が高くなることがありますが、

これらの疾患ではより精度の高い別の血液検査結果をもとに診断を行うのが普通です。

 

下げるにはどうすれば良いのか?

では、γ-GTP値を下げるにはどうすればよいでしょうか?

まずは禁酒。これにつきます。

特にアルコール性の肝障害の場合は、禁酒するだけで健康な時の肝機能水準にまで回復させる

ことができるので実行する価値が高いといえます。

 

一方で、「アルコール性の肝疾患でないなら、禁酒しなくてもいいのでは…」と思う人もいるかもしれません。

でも、γ-GTP値に限らず肝機能障害を示しているのなら、禁酒は最良の治療です。

なぜなら、肝臓は解毒を行う器官です。

私たちの体にとってはアルコールも有毒な物質でしかありません。

アルコールの摂取は、障害がおきている肝臓にさらなる負担を強いることになります。

逆に、禁酒をして負担を軽減してやれば、再生能力の高い肝臓は機能を回復していきます。

 

しかし、肝炎が進行して肝硬変になってしまうと、もう再生はできません。

できるだけ早い段階で禁酒を実行することが一番なのです。

肝臓が元の状態に戻れば、適量なら飲酒も可能です。

適量とは、ビールなら中ビン1本、

日本酒なら1合、ワインならグラス2杯、焼酎なら120㎖、ウィスキーならダブル1杯までです。

γ-GTPの異常は、お酒が好きだからこそ起こるケースがほとんどです。

ずっと飲み続けたいなら、まずは禁酒して肝臓の回復を待ち、その後は適量を守って、

長くお酒と付き合って行けるようにしましょう。

 

また、アルコールを摂取していないのにγ-GTP値が高いという人もいます。

その場合、多くの原因は“肥満”にあります。肥満の人は高血糖である場合が多く、

前述の酸化ストレスを引き起こしている可能性が考えられるからです。

食生活の見直しとともに適度な運動を取り入れ、肥満を解消すれば、正常値に戻っていくことでしょう。