特に体調が悪いわけではないのに、「何となく体がだるい」「疲れやすい」と感じている人、

もしかしたら、“肝臓”がきちんと働けていないのかもしれません。

「肝臓に悪いことなんて、何もしていない」という人こそ要注意!

暴飲暴食をしていなくても、肝臓の機能が落ちることがあるんです。

その1つが水分不足。

ここでは肝臓に水分が必要な理由と、正しい水分補給について紹介しています。

肝臓と水分の関係

肝臓は栄養素の代謝や解毒をはじめ、たくさんの役割を持っています。

これらは肝臓内で化学反応として行われるため、

反応を起こさせるための酸素や原料となる物質が、十分に供給されていなくてはなりません。

また、生成された物質を速やかに必要な器官へと送り出すことも大切です。

 
そのために重要な働きをするのが“血液”です。

肝細胞に送り込まれる血液は1分間に1,100㎖とも言われ、

肝臓内に蓄えられている血液量は全体の10%以上に相当します。

これだけの大量の血液を肝細胞に送り込むために、

肝臓には独自の血液循環経路“門脈”があるくらいです。

肝臓(レバー)が赤黒い色をしているのは、大量に血液を含んでいたからなんですね。

さて、この血液の組成を見てみましょう。

実は、血球成分(赤血球や白血球)以外の90%を占めるのが水分なんです。

体内の水分量は、血液量に大きく影響します。

そして、その影響を大きく受ける臓器の1つが“肝臓”なのです。

 

水分不足による肝臓への影響

このように、体内の水分は血液の濃度に大きく関係します。

“水”というのは非常に身近な存在ですが、実は優れた化学的性質をもった物質です。

その最大の特徴は、様々な物質を溶かすことができること。

私たちの体内でも、

様々な物質が水に溶ける(=可溶性)ように合成・分解されて運ばれています。

しかし、いくらでも溶かせるわけではありません。

砂糖を入れすぎれば、だんだん溶けにくくなっていきますね。

体の中でも同じことで、体内を巡る水分が少なくなる…

すなわち血液が濃く少なくなってしまうと、運べる物質の量が減ってしまうわけです。

こうなると肝臓は新鮮な酸素も機能に必要な物質も受け取れなくなります。

水分不足の症状として“熱中症”がありますが、それによるダメージの1つに肝障害があります。

重篤な熱中症では肝細胞が壊死し、肝臓が十分に働けなくなってしまうわけです。

水分不足が肝臓に与える影響の大きさがわかりますね。

 

水分の摂りすぎによる肝臓への影響

それでは、逆に水分を摂りすぎたらどうなるのでしょうか。

水分を多く摂ったとしても、

私たちの体はホメオスタシス(恒常性維持)によって一定に保たれます。

血液が薄まりすぎて大量に増えるということはありません。

こういった水分代謝は、主に腎臓で行われています。

健康であれば水分を多く摂り過ぎても尿として排出されるだけで、

大きな問題にはなりません。

 
ただし、一度に大量に飲むような摂り方は良くありません。

食事時に水分を摂り過ぎれば胃液が薄まって、消化不良の原因になり、

これは代謝機能を持つ肝臓にも負担をかけることになります。

また、大量の水によって内臓が冷やされ、機能を低下させることもあります。

つまり、肝臓の働きも正常に行われにくくなり、それによって栄養素の代謝が低下したり、

解毒がスムーズに進まなかったりするわけです。

肝臓にとって水分は血液などを介して重要なものですが、

一度に大量に摂取すると弊害がおきる可能性もゼロではないということですね。

 
また、肝疾患を持っている人の中には、過剰に水分を欲しがるケースも見られます。

これは、肝硬変などの進行した状態では肝臓や腸の表面から水分が漏れ出し、

“腹水”が生じるため、細胞内の水分が欠乏してしまうからです。

腹水が生じる原因には、門脈圧の亢進、血管の体液保持能力の低下、腎臓による体液貯留、

体液を調節するホルモンや化学物質の量の変化などによる影響があります。

肝疾患が進行しないうちに、適切な処置と食生活で肝臓の再生を促しましょう。

それには適度な水分補給も大切です。

摂取は「こまめに少量ずつ」が基本ですので、肝臓のためにも心がけましょう。

 

適切な水分量とは?

それでは、どのくらいの水分を毎日補給すれば肝臓のために良いのでしょうか?

人の体は1日に約2,500㎖の水分を排出しています。

この2,500㎖の中には、尿や便・汗はもちろん、

呼気として蒸発していく水分も含まれています。

ですから、この量を上回る水分を毎日補給しなければ、体は正常な生命活動を維持できません。

 
しかし、2,500㎖を水分として補給する必要はありません。

平均的な食生活を送っている人ならば、食事から約1,000㎖、

体内の代謝物(細胞内の分解・合成の結果、生じる水分のこと)から

300㎖は確保できていますので、残りの1.200㎖程度を水分として補給すれば、

必要量を賄えるわけです。

1日に1,200㎖ということは、コップなら6杯程度。

食事や休憩時間などを利用すれば、なんとか摂取できそうな量ですよね。

気温が高く発汗量が多い夏場は当然ですが、

乾燥しやすい冬場も肝臓のためには水分補給が重要です。

「こまめに少量ずつ」を忘れずに、

肝臓が十分に機能できるような体内環境を整えてあげましょう。