サラダや付け合わせなどにも利用される“ブロッコリー”。

最近では発芽したての“ブロッコリースプラウト”もよく見かけるようになりました。

ポピュラーな野菜ですが、実は、肝機能を高める優れた物質がたくさん含まれています。

ここでは、ブロッコリーとそのスプラウトが肝臓に良い理由と、

その効果的な摂り方についてわかりやすく解説します。

肝臓に良い栄養素とその効果

ブロッコリーは一年中売られており、価格も手ごろで調理がしやすい野菜の1つです。

そんなブロッコリーですが実は、

肝機能をアップしたりサポートしたりしてくれる物質を多く含んでいる優秀な野菜でもあります。

その代表的な物質「グルタチオン」「スルフォラファン」「食物繊維」の3つを紹介しましょう。

グルタチオン

グルタチオンは、地球上のあらゆる生物に存在しているといわれるほど生命の維持に不可欠な物質です。

人間では、特に肝臓や皮膚などの細胞に多く含まれています。

グルタチオンには、“抗酸化作用”と“解毒作用”といった2つの大きな働きがあります。

 

抗酸化作用とは、飲酒、喫煙、ストレス、紫外線などの影響で増加する“活性酸素”を還元・消去する働きのことです。

活性酸素は生体内で重要な働きをする物質でもありますが、

増えすぎると細胞を傷つけ、病気や老化を進行させる原因になってしまうからです。

特に、飲酒により発生した活性酸素は、その発生場所となる肝臓に大きなダメージを与えてしまいます。

 

また、解毒とは体内にある有害物質を無害化し、排出する作用のことです。

解毒は肝臓で行われますが、その方法はグルタチオンが有害物質を包み込むことで行われます。

このため、肝臓では大量のグルタチオンを必要としているのです。

スルフォラファン

“スルフォラファン”は発癌や腫瘍化を防ぐ作用をもつイソチオシアネートの1種で、

抗がん剤としても認められている物質
です。

フィトケミカル(通常の身体機能維持には必要とされないが、健康によい影響を与える植物由来の化合物。別称ファイトケミカル)

として認知されている物質の代表格ともいえるでしょう。

 

スルフォラファンはアブラナ科の植物に多く見られますが、中でもブロッコリーはたくさん含んでいます。

ブロッコリーの中では、スルフォラファンは“スルフォラファングルコシノレート”という物質で存在していますが、

体内で分解されるとスルフォラファンに変わります。

 

では、スルフォラファンの肝臓に対する作用とは、どのようなものでしょうか?

スルフォラファンは、肝臓で働く“グルタチオン・S・トランスフェラーゼ”という酵素の生成を促進する作用を持っています。

前項のグルタチオンを含む酵素です。

この酵素は、有害な物質や重金属を無害化し、排出するという“解毒”に関わる重要な働きを持っていて、

解毒・悪酔い防止・胃潰瘍の予防などに効果があることが知られています。

加えて、スルフォラファンは強力な抗酸化作用を持っています。

 

例えばお酒を飲むと、肝臓で有害なアルコールを分解する過程で活性酸素が大量に発生します。

この活性酸素は肝細胞を傷つけたり壊したりしてしまうのです。

でも、ここに抗酸化作用を持つ物質が存在すると、活性酸素の発生を抑制したり、除去したりしてくれます。

ビタミンCなどにも抗酸化作用がありますが、摂取後数時間で効果が失わるのに対し、

スルフォラファンの効果は約3日間も持続することがわかっています。

これは、直接的に働きかけるビタミンCなどと違って、

スルフォラファンが抗酸化酵素に働きかけて間接的に効果を発揮するためです。

 

また、ラットを使用した実験で、ブロッコリーに含まれるスルフォラファンが、

様々なタイプの肝炎・肝障害の発症を抑えることが明らかになっているほか、

肝臓中のコレステロールが減少することも報告されています。

さらに、肝炎にはウイルス性やアルコール性などのタイプがありますが、

スルフォラファンはその両方に効果を発揮したという研究結果があります。

発症してしまった肝臓病への効果も確認されているので、

闘病中の人でも利用できるのは嬉しいですね。

食物繊維

ブロッコリーは火を通すと非常に柔らかくなるので、“食物繊維”の硬いイメージからは遠いのですが、

実はタケノコ・小松菜・ホウレン草・キャベツなどよりも多くの食物繊維を含んでいます。

その量は、茹でた状態でも3.7g!水溶性と不溶性をおよそ1:3の割合で含んでいます。

 

この食物繊維も肝機能と関係がある栄養素です。

食物繊維には脂質の吸収を抑制し、コレステロールを排出する作用があるからです。

脂質の摂取量は食習慣に左右されますが、多く摂る人ほど肥満や脂肪肝になる傾向が強くなります。

でも、食物繊維を含む食材を摂っていると、

脂質やコレステロールが脂肪として蓄積されにくくなるので、

脂肪肝を予防することができます。

 

脂肪肝は肝臓に多量の脂肪がついた状態で、軽く見られることも多い病気ですが、

進行すると肝機能が低下し、肝硬変に至ることもあります。

最近では、肝臓がんの発生には脂肪肝が大きく関係することもわかってきました。

油っこい食事のときには、食物繊維が豊富なブロッコリーを摂るように心掛けましょう。

また、ブロッコリーは、ゴボウに比べれば食物繊維の含有量は劣りますが、

多く含んでいる割に食感がよく、歯が悪い人でも食べやすい食材です。

固いものを噛むのが辛い高齢者の食物繊維の補給にもぴったりですね。

 

ブロッコリースプラウトとは?

店頭でも珍しくなくなった“スプラウト”。一体、何なのでしょうか?

スプラウトとは、種から発芽したばかりの新芽のことです。

ブロッコリーの他にも、おなじみの大豆もやしやカイワレ大根、

豆苗、アルファルファ、マスタードなど、いろいろな野菜のスプラウトが売られています。

スプラウトは非常に栄養豊富な状態にあります。

それは、“種”として、これから育っていくための栄養をたっぷりと蓄えていること。

さらに、発芽によって新陳代謝が活発に行われ、

種の時には休眠状態だった栄養素が活性化したり、新しく作られたりしています。

 

つまり、“種”時代に蓄えていた栄養と、“発芽”によって活性化したり作られたりした栄養の二種類を併せ持っているのが“スプラウト”なのです。

スルフォラファンの量を例にあげると、ブロッコリースプラウトでは成長したブロッコリーの20倍以上含んでいるといわれています。

 

上手な摂り方

せっかく肝機能に良いブロッコリーを食べても、摂り方次第でその効能を十分に得られないことがあります。

その原因は、ほとんどの場合、調理法にあるといってよいでしょう。

調理法

それでは、どのように調理すれば、ブロッコリーの栄養素を無駄なく摂ることができるでしょうか?

実は、栄養素によって、適した調理法があるのです。

それぞれ具体的に見ていきましょう。

グルタチオン

グルタチオンは植物に特有の固い細胞壁の中に含まれています。

ですので、火を通してこの細胞壁を柔らかくし、

中のグルタチオンを取り出しやすいように工夫する必要があります。

ただし、茹でてはいけません!

グルタチオンは水溶性の物質である上に熱に弱く、長時間茹でると水に溶けだしたり壊れたりしてしまいます。

もったいないことに、茹で汁ごと捨ててしまうことになりますね。

 

そこで、最適な加熱方法は“電子レンジ”を利用することです。

ブロッコリーの1房を小房にカットして耐熱容器に入れ、ラップをして3分前後(700w)加熱してください。

あまり加熱しすぎると、グルタチオンが壊れてしまいます。

ご家庭の機種に応じて、時間を調節してくださいね。

スルフォラファン

熱に弱いグルタチオンと違って、スルフォラファンは熱に対する安定性が高いといわれています。

また、切る・噛む・消化などによってスルフォラファンへと変化するということも調理上の重要な要素です。

しかし、その一方で、揮発性が高いという特徴があります。

ですので、包丁などの切り口から、スルフォラファンはどんどん空気中へ逃げて行ってしまいます。

切ったらすぐに食べるようにしましょう。

 

これらの特徴を踏まえると、スルフォラファンを優先的に摂りたいのであれば、

ブロッコリーをあまり小さく切り分けない方が適しています。

サイズが大きくなると調理時間が長くなってしまいますが、

スルフォラファンは熱には強いので、長めに加熱しても大丈夫です。

小分けする大きさにもよりますが、4分前後(700W)を目安に電子レンジで加熱してみてください。

また、“切る”という刺激が少ないため、

よく噛むことでスルフォラファンへと変化させるのも大切です。

食物繊維

食物繊維は熱にも強く、安定した栄養素ですが、

水溶性の食物繊維は茹でると一部が流れ出てしまいます。

ですので、加熱にはやはり電子レンジを利用した方が良いでしょう。

不溶性の食物繊維については特に心配ありません。

 

前項のグルタチオンやスルフォラファン用に調理したブロッコリーなら、

特別なことをしなくても一緒に食物繊維を摂ることができます。

スルフォラファン用の調理なら、ブロッコリーをより柔らかくすることができ、

咀嚼が難しい人にも適しています。

備考(スルフォラファンについて)

スプラウトは発芽したての新芽なので柔らかく、特に加熱の必要はありません。

ただし、グルタチオンやスルフォラファンなどの吸収率をアップするには、

よく噛んで細胞壁を壊すことが大切です。

 

また、スルフォラファンは“切る”ことでも生じますので、

スプラウトを細かく刻んで食べるのも効果的な調理法です。

刻む前に水分を良くふき取っておくと、グルタチオンが溶け出すのを防ぐこともできます。

スルフォラファンは生のまま食べることもでき、調理も簡単なので、

グルタチオンやスルフォラファンを手軽に、

そして大量に補給できる方法としてイチオシの食材です。

組み合わせ・レシピ

調理法だけでなく、ブロッコリーを他の食材と上手に組み合わせることで、栄養素の吸収をよくすることができます。

例えば、スルフォラファンは大豆レシチンと一緒に摂取すると吸収率が高まると言われています。

大豆の入った煮物や納豆などを一緒に摂るといいですね。

 

また、スルフォラファンは油溶性なので、油と一緒に摂ることで吸収率が高まります。

ブロッコリーにドレッシング(ノンオイルは不可)をかけるだけでOKです。スプラウトの辛味が気になるなら、

マヨネーズやタルタルソースに混ぜ込むと良いでしょう。

 

食材の中でも脂肪分の多い肉料理の付け合わせに利用すると、彩も良く、効果的です。

私の一番のおすすめレシピは、「鶏肉のブロッコリースプラウトソース添え」です。

鶏肉を開いて塩コショウし、片栗粉をまぶしたらフライパンで焼きます。

そして、ソースを作ります。…といっても、市販のポン酢に刻んだブロッコリースプラウトを和えるだけ。

焼いた鶏肉に添えれば完成です。

 

ポイントは、なるべく食べる直前にスプラウトを刻み、放置しないでポン酢と混ぜること。

こうすればスルフォラファンが空気中に逃げるのを防げますし、

グルタチオンがポン酢に溶けだしても、鶏肉に絡めれば摂取できますね。

刻むことでスルフォラファンに変化せられますし、食べやすくもなります。

さらに、鶏肉は良質なたんぱく質を多く含む食材です。

 

たんぱく質はダメージを受けた肝細胞の修復に必要な素材ですが、

ブロッコリーからは十分な量を摂取することができません。

鶏肉を食べれば、たんぱく質を補うことができますね。

カロリーが気になるならモモ肉ではなく、ササミや胸肉を利用しましょう。

 

肝機能を高めるグルタチオン・スルフォラファンと、

肝細胞を修復する材料となるたんぱく質を一度に補給できるレシピです。

お試しください!

もっと効果的に栄養素を摂取したいのであれば、副菜として大豆の煮ものがあると完璧です。

大豆レシチンを一緒に摂れるので、

スルフォラファンの吸収率をアップしてくれますよ。

 

緑黄色野菜であるブロッコリーやそのスプラウトは、もともとビタミンを豊富に含む野菜ですが、

最近では今回紹介した肝機能アップの効果も深く研究されています。

中には、スルフォラファンの含有量が100倍以上といわれる『スーパーブロッコリースプラウト』も売られています。

なんといっても手軽に摂れる食材です。

 

スルフォラファンの効果なら3日間持続するといわれていますから、スプラウトやブロッコリーを織り交ぜ、素材や調理法に

変化をつけて飽きないように工夫し、定期的に摂ると効果が期待できますよ。

レシピや調理法を参考にして、無駄なく肝機能アップを図ってください。