私たちの体には、様々な生理作用を持つ物質が存在しています。

中でも「隠れた立役者」と呼ばれているのが、“グルタチオン”です。

グルタチオンは命を守る重要な役割をもっており、肝機能とも深い関係があります。

ここでは、肝臓の働きをサポートする物質として、

グルタチオンの効果や摂取方法について詳しくお伝えします。

グルタチオンとは?

グルタチオンは、“グルタミン酸”“システイン”“グリシン”という3つのアミノ酸が連なったペプチドの一種です。

微生物から動・植物まで、様々な生物の細胞に存在しており、生命を維持するために欠かせない成分です。

人間の体内では、特に皮膚や肝臓などの細胞に多く含まれていますが、細胞の外側の濃度は、

中側の1/100~1/1000程度と低くなります。

また、加齢や紫外線の影響によって減少しやすいという特徴があります。

グルタチオンには大きく分けて次の2つの働きがあります。

  • 抗酸化作用
  • 解毒作用

それぞれ詳しく見てみましょう。

抗酸化作用

抗酸化作用とは、活性酸素が細胞にダメージを与えるのを防ぐ働きのことです。

この活性酸素には強いパワーがあり、もともとは、私たちの体内で細菌やウイルスなどの病原体を

退治してくれる働きがあります。

 

しかし、活性酸素は飲酒、喫煙、ストレス、紫外線などの影響で増加することが知られており、

増えすぎると細胞も傷つけてしまうのです。その結果、病気になったり、老化が加速されたりします。

グルタチオンは、このような過剰に発生した活性酸素などと反応して還元・消去し、細胞を保護したり、

病気や老化を予防したりする働きを持っています。

解毒作用

私たちは、食事や環境から、気づかぬうちに有害な物質を体内に摂り込んでしまっています。

これらは通常、大量に摂取する可能性は低いのですが、微量なものは食品や大気中にも含まれており、

中には体内で様々な作用を持つ重金属などもあります。

また、病気に有効な薬も、体にとっては異物と判断されるため、

体外に排出する機能が備わっています。

 

このように、体にとって重要な物質でも、蓄積しすぎたり長期間とどまったりすると危険になるため、

体内での濃度をコントロールする必要があります。

その作用の1つが解毒です。

グルタチオンによる解毒のメカニズムは、次の通りです。

まず、有害物質をグルタチオンが包み込みます(グルタチオン抱合)。

前述の通り、グルタチオンは3つのアミノ酸から成り立っているので、

これらのアミノ酸の中心に有害物質を閉じ込めるのです。

その後、3つのアミノ酸のうち、有害物質によってグルタミン酸とグリシンが切り離され、

残ったシステインと有害物質が“メルカプツール酸”となって尿へと排泄され、

有害物質が体外へ捨てられる…というわけです。

 

なぜグルタチオンが肝臓に良いのか?

では、なぜグルタチオンが肝臓に効果があるといわれるのでしょうか?

その理由は、グルタチオンの働きの1つ“解毒”を行う臓器が肝臓だからです。

グルタチオンは体中の細胞に含まれますが、特に肝臓に多く存在しています。

それも、この解毒を行うためなのです。

 

解毒作用をスムーズに行うには、肝臓のグルタチオン濃度を下げないようにすることが重要です。

前述の解毒のメカニズムで述べたように、グルタチオンがなければ解毒できないからです。

解毒は有害な重金属や薬物などを体外へ排出する作用ですが、

解毒の対象となる物質で、私たちが頻繁に、

しかも大量に摂取しているものがあります。

それはお酒(アルコール)です。

 

肝臓でアルコールが代謝されることは広く知られていますが、実のところ、その作用は解毒です。

アルコールは私たちの体にとっては有害物質の元に他ならないのです。

そこで、アルコールと肝臓やグルタチオンの関係について、詳しく触れておきましょう。

アルコールの影響

お酒にはアルコールが含まれています。

このアルコールを分解する過程で、活性酸素やアセトアルデヒドといった有害物質が発生します。

これらを体外に排出しようとして、肝細胞のグルタチオンが急激に消費されていきます。

もし、お酒を大量に飲んだら、どうなるでしょうか?

 

肝臓内に存在するグルタチオン以上に、アルコールの分解によって活性酸素やアセトアルデヒドが

生じてしまうと、処理しきれずに残ったこれらの有害物質によって、

肝細胞が傷つけられてしまいます。

その結果、アルコール性肝障害を引き起こしやすくなるというわけです。

 

また、お酒を日常的に飲んでいる人に多い“アルコール性脂肪肝”にも、

グルタチオン不足が関係しているといわれています。

アルコール性脂肪肝とは肝臓に中性脂肪がついてしまう病気ですが、

グルタチオンには肝臓から中性脂肪を取り出す働きがあると考えられているからです。

脂肪肝は、進行すると肝炎、肝硬変を発症し、

最近では肝がんの原因にもなっていることがわかってきました。

軽く見ては危険ですね。

グルタチオン摂取とアルコール分解の関係

では、体内のグルタチオン濃度は、アルコールの分解に影響を与えるでしょうか?

お酒を飲んだ後の呼気のアルコール濃度が、

グルタチオン摂取でどのように変化するかを調べた研究があるので紹介しましょう。

 

この研究は、グルタチオンを摂取したグループと摂取しないグループに分けて行われました。

その結果、摂取したグループでは、20分後には呼気中のアルコール濃度がかなり低下し、

経時的に減少することが確認されました。

 

また、実験後に行ったアンケート調査では、アルコールの抜け方、眠気、頭痛、胃のむかつき、

むくみ、紅潮、ふらつきについて、グルタチオン摂取グループで良い結果が得られたと報告されています。

このように、肝臓が解毒作用を行うときに重要なグルタチオンには、

肝機能を高める効果があるといえるのです。

 

また、肝臓の機能が低下すると活性酸素や解毒作用不足によって、疲れやすくなったり、

他の病気にもかかりやすくなったりします。

ですので、グルタチオンが不足しないように気を付けることは、

肝機能の維持だけでなく、健康全般にとっても有用なことなのです。

 

グルタチオンを増やす方法

では、体内にグルタチオンを供給、あるいは生成を促進させるにはどうすれば良いでしょうか?

一般的には、グルタチオンやその生成の材料となるものを食事から摂取する以外に方法がありません。

海外ではサプリメントが市販されていますが、

現在、日本では医薬品扱いとなっており、事業者がサプリメントを販売できないからです。

グルタチオンを多く含む食品

それでは、グルタチオンを豊富に含む食材は何でしょうか?
種類別にまとめてみました。

表1 グルタチオン含有量の多い食材
野菜類果物類肉・魚類
アスパラガスアボカドレバー各種
ブロッコリーグレープフルーツマダラ
カリフラワーオレンジ赤貝
スプラウトマスクメロン豚ヒレ肉
キャベツイチゴ牛スネ肉

 

なお、調理にあたってはちょっとしたコツが必要ですので、調理時のコツと注意を併せてご覧ください。

野菜類

グルタチオンには強力な抗酸化作用があります。

野菜などの新芽の部分は紫外線にさらされやすいので、

細胞を保護するために豊富にグルタチオンを含んでいます。

ですので、特に新芽の部分を食べる野菜類が、グルタチオンの摂取には効果的といえます。

 

おススメはアスパラガス、ブロッコリーです。

アスパラガスは葉が退化していて紫外線を遮ることができないため、

新芽を大量のグルタチオンで守っています。

同様に、スプラウトと呼ばれる発芽したばかりの新芽も、グルタチオンを多く含みます。

“スプラウト”というと新顔の野菜のように思いますが、

豆苗(とうみょう)やカイワレ大根もスプラウトです。

中でもブロッコリースプラウトがお勧めですよ。

果物類

果物類の中でグルタチオンの含有量が多いのは、なんといってもアボカドです。

“畑のバター”と呼ばれるように脂肪分が多い果実なので、

カロリーを気にする人もいるかもしれませんが、

その約7割はLDL(悪玉)コレステロールの低下に働くオレイン酸で、

コレステロールはほとんど含まれていません。

しかも、グルタチオンと同様に抗酸化力のあるビタミンEが豊富なので、

抗酸化作用のアップにも効果があります。

 

また、グレープフルーツやオレンジなどの柑橘類やイチゴも、

比較的多くグルタチオンを含みます。

これらの果物類は、ビタミンC(アスコルビン酸)も多く含んでいますね。

ビタミンCにも抗酸化作用があるので、相乗効果が期待できますよ。

肉・魚類

動物の肝臓にはグルタチオンが豊富に含まれていることは、すでに説明した通りです。

従って、牛・豚・鶏のレバーにも、グルタチオンは豊富に含まれています。

含有量で比べれば、前述のアスパラガスやアボカドの軽く3倍以上ですから、

グルタチオン供給の優等生ですね。

 

特に牛レバーの含有量は高く、お勧めの食材です。

また、レバーは鉄分を多く含むことで有名ですね。

脂肪肝やアルコール性の肝障害がある人は、肝臓で貯蔵できる鉄の量が減少してしまうため、

補給して鉄不足を予防することもできるので、特にお勧めします。

 

ただし、肝硬変やC型慢性肝炎の人は炎症を悪化させるなどの悪影響がありますので、

摂りすぎないように注意しましょう。

一方、食材として使いやすい豚のヒレ肉にも、

アスパラガスやブロッコリーなどと同等量のグルタチオンが含まれています。

調理時のコツと注意

せっかくグルタチオンを補給しようとしても、

調理の仕方を間違えると、効果的に摂ることができません。

次のコツを読んだうえで、料理してくださいね。

野菜類

アスパラガスなどの野菜類は、固い細胞壁の中にグルタチオンが含まれています。

ですので、火を通してこの細胞壁を柔らかくし

中のグルタチオンを取り出しやすいように工夫する必要があります。

ただし、茹でるのは厳禁!

グルタチオンは水溶性の物質である上に熱に弱く、

長時間茹でると水に溶けだしたり壊れたりしてしまい、もったいないです。

そこで、最適な加熱方法は“電子レンジ”を利用することです。

  1. アスパラガスを洗ったら、水気をサッと切り、拭き取らずにラップでくるみます。
  2. 丸ごと1本に対して15~20 秒(700w)加熱しましょう。
  3. ご家庭の機種に応じて、時間を調節してくださいね。

スプラウトは発芽したての新芽なので柔らかく、特に加熱の必要はありません。

ただし、グルタチオンの吸収を上げるには、

よく噛んで細胞壁を壊すことが大切です。

果物類

果物類は特に調理の必要がないため、最も手軽にグルタチオンを補給できる方法といえます。

柑橘類はあまり問題がありませんが、

アボカドを食べるときは必ず完熟したものを選んでください。

アボカドのグルタチオンは、果肉が熟すほどたんぱく質が分解されて、

グルタチオンの量が増えていきます。

緑色のものは未熟なので、全体が黒くなったものを選びましょう。

 

アボカドの両端(ヘタ側とその反対側)を指で押してみて、

固さが感じられなければ食べごろです。

未熟なアボカドは、バナナやリンゴなどと一緒にビニール袋に密閉しておくと、

早く熟します。

これはバナナやリンゴが発するエチレンガスが、

成熟させるホルモンとしてアボカドに作用するためです。お試しください。

肉・魚類

グルタチオンの補給にレバーは非常に優れた食材ですが、調理には工夫が必要です。

…というのも、レバーは鉄分も多く含む食材です。

鉄は非常に酸化されやすい(簡単に言うとさびやすい)金属です。

レバ-中の鉄分が酸化されると、グルタチオンも酸化されてしまい、その効力を失ってしまうので、

できるだけ鉄の酸化を防がなければなりません。

 

それには抗酸化力のある食材と一緒に調理して、レバーのグルタチオンを保護してあげましょう。

おすすめは、「レバーのアーモンドフライ」。

抗酸化力の高いビタミンEを豊富に含むアーモンドと一緒に調理する方法です。

しかも水で調理しないので、水溶性のグルタチオンを逃がさずに調理できます。

 

作り方は簡単!

食べやすい大きさに切ったレバーに塩・コショウし、小麦粉、溶き卵、スライスアーモンドの順でつけていきます。

アーモンドは隙間なくつけましょう。

あとは中までしっかり火が通るように低い温度で揚げます。

カロリーが気になるなら、多めの油でゆっくり焼いてもいいですね。

特に牛レバーはアーモンドと相性が良いのでおいしいですよ。

 

最近、ビタミンEが肝臓でのグルタチオンの生成を促進していることがわかってきました。

グルタチオンの摂取だけでなく、生成もサポートしてくれるので、

イチオシのレシピです。

野菜類はかさがあるので、大変かもしれませんが、肉や魚ならそれほど苦ではありませんね。

一種類の素材から摂ろうとせず、肉・魚、野菜や果物と織り交ぜて摂るようにすると、

栄養的なバランスも良く一石二鳥ですよ。

 

補足~経口摂取について~

グルタチオンは最近まで口から摂取しても効果がなく、

体内で生成されたグルタチオンだけが効力を持つといわれてきました。

これは、口から摂取すると、

食品中の栄養素は消化によって分解されてしまうからです。

 

例えば、美容成分“コラーゲン”を食べても、

たんぱく質であるコラーゲンは消化管でアミノ酸に分解され、吸収されます。

このアミノ酸が肌までたどり着けるか、

あるいは肌でコラーゲンに再合成されるかといった点については、

科学的な根拠がなく、経口摂取という方法は医学界では疑問視されています。

 

このため、体に供給したい栄養素をそのまま摂取しても、分解された後に再合成される保証がなく、

食事から目的の成分を補給するには難しい面がありました。

ですが、グルタチオンは3つのアミノ酸からなる比較的小さい化合物です。

このため、口から摂取しても分解されずに吸収され、

そのまま効果が発揮されることが確認されました。

補給すれば、その分、グルタチオンの体内濃度を上げることができる…というわけです。

 

また、グルタチオン生成の原料となる“αリポ酸”“N-アセチルシステイン”“L-グルタミン”は、

表1であげた食材にも含まれています。原料を補給すれば、グルタチオンの生成がスムーズに行われるので、

この方法でも体内の濃度を上げることができます。

バランスの良い食事を摂ることも同様の効果がありますので、

心がけるようにしましょう。

肝臓が気になる人がサプリメントもおすすめ!

グルタチオンには肝臓への効果があることがお分かりいただけたかと思います。

ただ毎日用意するとなると、仕事が忙しかったり、

洗い物の手間が増えたりと、なかなか習慣化するのは難しいかもしれません。

もし肝臓が気になるのであれば、肝臓サプリを検討してみてはどうでしょうか。

 

肝臓サプリは肝機能に良いとされる、しじみや牡蠣、ウコンといった食材を、

凝縮することで、効率的に肝機能改善をおこなうことができます。

毎日サプリを数粒飲むだけですので、忙しい人には特におすすめです。