「納豆」と言えば日本の伝統食の1つ。朝食の定番メニューでもありますね。

その高い健康効果から、海外でも注目を浴びている食材です。

でも、この納豆が肝臓にも良いということは意外と知られていません。

ここでは、肝臓が納豆に効く理由と特に効果が期待できる肝疾患について、紹介しています。

注意すべき点もありますので、最後までお読みくださいね!

 

そもそも納豆とは?

納豆の原料は大豆。

大豆といえば高タンパク、低カロリーで食物繊維が豊富であることから、

ダイエットや便秘改善など健康に良いイメージがありますね。

また、女性ホルモンと似た働きをする「大豆イソフラボン」を含むため、

美容や女性の体調管理に効果があるとして人気の高い食材でもあります。

納豆は、この大豆を納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)によって

発酵させたものです。

大豆の栄養価はもちろんのこと、発酵によって消化しやすい状態になっており、

胃腸の負担を軽減してくれるというメリットもあります。

さらに、発酵の過程で納豆菌が産生した「ビタミンK」が豊富に含まれているのも特徴です。

ビタミンKは血液の凝固に重要な役割を果たすほか、骨の形成にも関与するため

骨粗しょう症の予防になるとされています。

 

納豆は脂肪肝に効果アリ?

それでは、納豆は肝臓に対してどのような効果を持つのでしょうか?

特に期待できるのは「脂肪肝」です。

脂肪肝とは、肝臓に脂肪が異常に蓄積された状態で、

進行すると肝炎や肝硬変を発症してしまいます。

アルコールの飲み過ぎは脂肪肝につながると言われていますが、

原因はそれだけではありません。

 

脂肪肝には非アルコール性のものもあり、

食べ過ぎや運動不足などの生活習慣も原因になることが知られています。

脂肪肝自体は深刻な病気ではないため軽く見る人も多いですが、

さらに進行すれば肝臓ガンになる可能性もあります。

できるだけ早く改善することが望ましいですね。

ぜひ「納豆」のパワーを借りて、脂肪肝の改善に努めましょう。

 

脂肪肝へ効果を示す納豆の主な成分は、次の3つです。

  • ビタミンB2
  • ムチン
  • レシチン

それぞれ詳しく見てみましょう。

ビタミンB2

納豆にはビタミンB2が豊富に含まれていて、その量は大豆のおよそ2~3倍にもなります。

ビタミンB2には血液中の脂質の酸化を防ぎ、体内の脂質や糖質の代謝を助け、

肥満を予防するという効果があります。

脂質や糖質を摂り過ぎると、余った分は脂肪に変換されて体内に蓄えられることになり、

肝脂肪の原因にもなります。

納豆を食べるとこれらの代謝が促進されるので、脂肪肝になりにくくなるというわけです。

ムチン

ムチンとは、糖とタンパク質が結合した多糖類で、納豆のネバネバの正体です。

他にも山芋、オクラなど粘り気の強い食材に多く含まれています。

このムチンには胃などの粘膜を保護する作用があることがわかっています。

そのため、アルコールなどの刺激が強い食品をとった場合に

胃壁がダメージを受けないよう守ってくれる効果があります。

さらに、ムチンで覆われるとアルコールが胃から急激に吸収されにくくなり、

肝臓での解毒作用の負担を和らげる効果もあります。

悪酔いや二日酔いの予防にもなりますが、脂質代謝などに肝臓の機能を回すことができるため、

脂肪が蓄積しにくくなると言われています。

また、ムチンは水溶性食物繊維に分類される物質でもあります。

食物繊維には脂質などが体内に吸収されるのを防ぐ働きがあり、

これも脂肪肝の予防に役立ちます。

 
ただし、ムチンには熱に弱く、水に溶けだしやすいという弱点があります。

この点、納豆は非常に理想的な食材です。

煮たり焼いたりする必要がなく、そのまま食べることができるからです。

「飲酒前に納豆を食べておく」というのも、肝臓を守る一つの方法と言えますね。

レシチン

肝臓の機能の1つに、中性脂肪を作る働きがあります。

生成した中性脂肪を外に運び出すには血液を介さなければなりませんが、

中性脂肪は油ですから、水が主成分である血液中を移動することができません。

そこで、タンパク質に結合させ「リポタンパク質」として血液中を移動できる状態にします。

その結合に使われるのがレシチンです。

もし、レシチンの量にくらべて中性脂肪が多くなってしまうと、リポタンパク質が合成できず、

中性脂肪を外に運び出すことができなくなってしまいますね。

こうして肝臓に中性脂肪が蓄積していくと、脂肪肝になってしまいます。

 
また、レシチンは脂肪肝に限らず、広く肝臓への効果が確認されている物質でもあります。

例えば、レシチンを投与することで、アルコールによる肝硬変の予防効果が確認されたり、

肝炎ウィルスなどによる肝障害が改善したりといったデータが報告されています。

 
レシチンは卵にも多く含まれる物質ですが、カロリーもコレステロールも高い食材ですので、

脂肪肝の人にはお勧めできません。

ヘルシーな納豆で補給するのが一番ですね。

 

その他の肝臓への効果

納豆には脂肪肝へ効果的に働く物質が豊富に含まれていますが、

肝臓全般にも良い効果を示す物質を含んでいます。

詳しく見てみましょう。

イソフラボン

イソフラボンは女性の悩みを解決する物質として人気がありますが、

実は生活習慣病にも効果があります。

生活習慣病の原因の1つに、血液中のコレステロール値の高さがあります。

油っこい食事を好む人に多い症状ですが、特に動物性の脂質を多く含む食事を摂ると、

血液中のコレステロールが増加していきます。

コレステロールは脂質の一種で、体内では細胞を構成したり、

ホルモンの材料になったりする重要な物質ですが、

日常的に血中コレステロール量が多いと動脈硬化を引き起こし、

心筋梗塞や脳梗塞の原因となってしまいます。

怖いですね。

しかし、納豆に含まれるイソフラボンには、

増えすぎた血中コレステロールを減少させる効果があり、

動脈硬化や、それによって引き起こされる生活習慣病の予防にも効果があります。

イソフラボンの摂取量が多い人ほど血中コレステロールが正常に近い、

というデータもあるんですよ。

 
では、肝臓とどのような関係があるのでしょうか?

実は、「コレステロールの代謝」は肝臓の機能の1つなのです。

コレステロールを合成したり、分解したりするのですが、

コレステロールが多ければ肝臓はそれだけ多く働かなければなりません。

そうなると、本来処理しなければならない他の機能が十分に働けない状態となり、

肝機能は低下してしまいます。

オーバーワークで疲れ切ってしまうわけです。

ですから、納豆のイソフラボンによって余計なコレステロールを減らしてあげることは、

肝臓の負担を軽くしてあげることにつながるんですね。

タンパク質

納豆と言えば、冒頭で触れたように良質で消化に優れたタンパク質を含んだ食材ですね。

このタンパク質が肝臓を強力にサポートしてくれるのです。

肝臓には栄養素の代謝や解毒など重要な働きがたくさんありますが、

これらの働きはおよそ2000種類に及ぶ「酵素」によって行われています。

そして、この酵素はタンパク質の仲間なのです。

健康診断を受けると血液検査の項目に「ɤ-GTP」や「GOT」「GPT」といった略語を

見かけると思いますが、これも肝臓にある酵素の一部です。

肝臓が十分に機能するためには、

必要な酵素をきちんと作れるだけの原料(タンパク質)が必要なわけですね。

また、アルコールの摂取などでダメージを受けた肝臓を、

正常な状態に戻してくれる作用もありますよ。

肝臓は自己修復能力が高い臓器なので、

十分にタンパク質を補給してあげれば少々のダメージなら回復できます。

積極的に摂るようにしましょう。

特に、納豆に含まれるタンパク質は発酵によって一部が分解された状態になっているので、

消化吸収に優れています。

このため、肝臓へのタンパク質供給源として適した食材の1つと言えます。

お酒を飲んで肝臓にダメージを与えたつもりがなくても、

何となく疲れが取れないようなときは、納豆でタンパク質を補給してあげると、

疲労回復に効果があるかもしれませんよ。

 

ナットウキナーゼの真実

納豆を作る納豆菌は、発酵の過程で「ナットウキナーゼ」という酵素を産生します。

ナットウキナーゼには血液をサラサラにする作用があり、血栓の詰まりを改善し、

動脈硬化などに良い効果があるとしてTVや雑誌などで話題になりました。

血液がサラサラになって循環が良くなることは、

大量の血液を必要とする肝臓にとって良いことなのですが、

現在この効果は否定されています。

 
確かに、ナットウキナーゼには血栓の詰まりを改善する効果があります。

ただし、血液中に直接入れれば…の話です。

私たちは納豆を食べることによってナットウキナーゼを体内に入れますが、

ナットウキナーゼは酵素(=タンパク質)の一種であるため、

消化管で分解されてアミノ酸になってしまいます。

そしてアミノ酸になって初めて体内に吸収することができるわけです。

ですから、血液中を流れるとき、ナットウキナーゼはアミノ酸へと姿を変えており、

酵素としての力を発揮することはないのです。

納豆の効果として「血液サラサラ」が注目されていただけに少々残念な気もしますが、

この効果は「コレステロールの低下作用」の結果として期待できるものでもあります。

納豆の作用の仕方に違いはあっても、肝臓への効果はあるわけですね。

 

納豆を食べてはいけない場合

このように肝臓に良い効果をたくさん持った納豆ですが、食べてはいけない場合もあります。

それは、ワルファリン(ワーファリン)などの「血液を固まりにくくする薬(抗血栓薬)」を

飲んでいる人です。

納豆に豊富に含まれるビタミンKは血液の凝固に深く関係していますが、

ワルファリンは間接的にビタミンKの働きを邪魔して、

血液を固まりにくくするために用いられています。

例えば、心臓に持病がある場合など脳梗塞を起こしやすい人に対して

血栓をできにくくするために処方されたりします。

しかし、納豆を食べることで体内にビタミンKが大量に補給されてしまうと、

ワルファリンが邪魔をしきれず、血栓ができてしまうことがあるのです。

納豆一口分でも命に関わるケースがあるそうなので、

医師から禁止されている場合は絶対に口にしないでくださいね。