肝臓に良い漢方薬やサプリメントとして、イメージが定着しているウコン。

その歴史は古く、効用も確かなものですが、実はウコンを摂ってはいけない場合もあるんです。

ここでは、ウコンの肝臓への効果とその理由、

さらに摂取にあたっての注意点などをわかりやすくまとめました。

ウコンとは?

ウコンの英語名は“ターメリック”。そう、カレーに欠かせないスパイスですね。

その他、たくあんなどの着色料や衣類の染料としても用いられています。

利用価値の高いウコン栽培の歴史は古く、

紀元前970年頃には東インド地方ですでに始まっていたと考えられています。

日本には平安時代に琉球(沖縄)へと伝わり、現在では日本最大の産地となっています。

“ウコン”というと1つの植物だと思うかもしれませんが、

世界には50以上、東南アジアだけでも30以上の種類があるといわれています。

 

このうち、健康食品の原料として使われているのは、

  • 春ウコン=「姜黄(キョウオウ)」
  • 秋ウコン=「鬱金(ウコン)」
  • 紫ウコン=「莪朮(ガジュツ)」

などで、いずれもショウガ科ウコン属ですが別の植物です。

これらのうち、最も肝臓に効果をもたらすのは“秋ウコン”で、

本記事でも単に“ウコン”といった場合は秋ウコンを指しています。

 

肝機能にウコンが良い理由

ウコンには“クルクミン”という成分が多く含まれています。

クルクミンとはポリフェノールの1種で、ウコンの鮮やかな黄色はクルクミンによるものです。

このクルクミンが肝機能の改善に役立っているのですが、

たくさんのウコンの中で最も多く含有しているのが“秋ウコン”なのです。

その量は一般的なウコンである“春ウコン”の3倍以上!

ちなみに紫ウコンにはクルクミンは含まれていません。

ですので、肝機能改善を目的としてウコンを摂るのなら、

断然“秋ウコン”を摂った方が効果的なわけです。

では、クルクミンは肝臓にどのような効果をもたらすのでしょうか?

理由とともに見てみましょう。

胆汁の分泌促進

肝臓は様々な栄養素を代謝する臓器ですがそのとき、

不要になった物質を胆汁の成分として胆汁中に排出しています。

もし老廃物が肝臓に蓄積されていると、肝臓の機能が低下し、

代謝や解毒といった作用にも支障が出てきます。

その結果、体に不調が現れてしまうのです。

この胆汁の分泌を促進してくれるのがクルクミンです。

胆汁の分泌が促進され、老廃物の排出がスムーズに行われることで、

肝臓の様々な働きも円滑になり、肝機能がアップするというわけです。

抗酸化作用

肝臓は解毒や代謝を行う過程で“活性酸素”を発生させ、それにより化学反応が行われています。

しかし、飲酒などにより発生する過剰な活性酸素は、

肝臓の細胞を傷つけ、破壊してしまうことになるのです。

その結果、傷ついた細胞は炎症を起こし、肝臓はその修復のためにも働くことになります。

 

修復が追い付かないほど活性酸素が多いと、炎症が進行し、

慢性肝炎や肝硬変、さらには肝がんを発症する可能性が高くなります。

クルクミンは、体内に入ると消化酵素の働きで“テトラヒドロクルクミン”となり、

これが強力な抗酸化物質となります。

クルクミンの抗酸化作用によって、過剰な活性酸素を除去することができ、

飲酒などによる活性酸素から肝細胞を守ることができるのです。

クルクミンもポリフェノールの1種ですが、この抗酸化作用は、

赤ワインに含まれるポリフェノールのおよそ2倍とも言われていますから、

その強力さがよくわかりますね。

抗炎症作用

私たちの体には、侵入してくる細菌やウイルスから守るための“生体防御システム”があり、

感染した異常細胞やがん細胞を除去しようと機能しています。

このとき、マクロファージや好中球といった、

免疫を担う細胞が活性酸素や一酸化窒素などのフリーラジカルを作り出して侵入者を攻撃しますが、

その一方で、炎症のサインに反応して酵素を産生し、炎症をさらに加速させます。

 

これは“炎症反応”という防御システムの一つで、一見すると症状を悪化させるように感じますが、

炎症によって患部がどこにあるのかを体中に知らせ、白血球を呼び寄せる効果があるのです。

ところが、炎症が広がり慢性的な状態が持続すると、

侵入者を排除するために作り出した活性酸素などが自分の細胞をも傷つけ、

有害な過酸化脂質を生み出し、がんに進展させることがあるのです。

炎症反応は大切なシステムですが、長期にわたると弊害が起こるということですね。

 

ところが、この炎症作用を抑える効果がクルクミンにはあります。

過剰な活性酸素は飲酒でも発生しますから、

クルクミンを摂っていると肝臓の炎症やがんへの進行を抑制することができます。

クルクミンの抗炎症効果はかなり高く、さらに細胞保護作用を示す例もあり、

臨床試験も多数行われています。

二日酔い防止

クルクミンにはアルコールの分解を行う酵素を補助する働きがあります。

アルコールを分解すると、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドが生じますが、

これも速やかに処理し、二日酔いになりにくくしてくれるのです。

 

飲酒後の血中アセトアルデヒド量の低下は、

ヒトによる経口試験で確認されているので、効果が期待できますね。

なお、飲酒前にクルクミンを摂ると効果的だそうですよ。

また、継続的にクルクミンを摂取することで、

肝機能低下の指標となるAST、ALT、γ-GTPの値が10%以上低下することも確認されています。

お酒を飲む機会が多く、肝臓に負担をかけている人は、

普段からクルクミンの摂取を心がけると良いですね。

 

ウコンの摂り方と注意

こういった肝機能の改善効果を得るには、クルクミンとして1日30㎎を摂取することが望ましいとされています。

ウコンには3~5%のクルクミンが含有されているので、毎日1gくらい摂ることになります。

しかし、クルクミンは脂溶性の成分であるため水に溶けにくく、

そのまま摂取しても消化管からの吸収率はあまり高くないといわれています。

 

これを解決する方法として、クルクミンを1/4以下の大きさに微細化する技術が開発されました。

微細化されたクルクミンなら、腸管からの吸収量が飛躍的に高くなることが確認できたのです。

ウコンを含む健康食品は多数ありますが、

効果を確実に得たいと思うのなら、

微細化されたクルクミンを含む高吸収型のサプリメントの利用が適しているといえるでしょう。

 

また、クルクミンには独特の味や臭いがあるため、

ウコン入りの食品や飲料に抵抗感がある人もいると思いますが、

サプリメントならこの点も気になりませんね。

 

ウコンを摂取すると逆効果な場合

こんなに肝臓への効果が期待できるウコンですが、摂取してはいけないケースもあります。

それは、C型肝炎や肝硬変などの肝疾患をすでに抱えている人や、

特定の薬を服用している人などです。

C型肝炎、肝硬変などの肝疾患がある人

肝疾患の患者にウコンが良くない理由は、ウコンに含まれる“鉄”にあります。

鉄は体に必要なミネラルですが、非常に酸化しやすい(サビやすい)金属です。

肝臓は鉄を貯蔵する器官でもありますが、

過剰に蓄えられた鉄の酸化によって活性酸素が生み出され、

これが肝臓に悪い影響を与えることはすでに述べた通りです。

 

通常は、ある程度の量の活性酸素なら、

肝臓に存在する抗酸化物質が不要な活性酸素を除去してくれるので、

肝臓の細胞にダメージを与えるほどにはなりません。

ただし、健康な肝臓であることが条件です。

 

肝疾患がある人は既に肝臓の機能が低下しており、

肝臓の修復などに抗酸化物質が使用されてしまうため、

余計な活性酸素を除去するために利用できる量が少なくなっており、

肝臓を守りにくい状態になっています。

 

また、C型肝炎ウイルスは鉄を貯め込む方向に作用してしまうので、

過剰に蓄積された鉄によって活性酸素の発生量が増える傾向にあります。

そこに食事などで必要以上に鉄を摂ってしまうと、

余計に肝臓へダメージを与えることになってしまうのです。

 

ウコンには、鉄が100gあたり41.4㎎含まれていますが、この量は鉄分豊富な食材である

鶏レバー(100g中9㎎)の8倍以上に相当します。

…といってもウコンを100g食べることはないでしょうが、

前述の1日の摂取目安量1gを摂っただけでも0.4㎎の鉄を摂ることになります。

 

厚生労働省の「食事摂取基準2015年度版」では、鉄の1日の推奨摂取量を40歳前後の男性で7.5㎎、

女性は10.5㎎(月経あり)と定めています。

しかし、C型肝炎の人などは6㎎程度に抑えるように食事制限がかかる場合があります。

この少しの差が大きく影響するというわけですね。

 

もちろん、鉄分は様々な食品からも摂取されますから、

敢えてウコンを摂ることがデメリットにつながる可能性もああります。

ですから、肝疾患を患っている人がウコンの恩恵を得たいのなら、

ウコンとして摂取するのではなく、

クルクミンとしてサプリメントなどから摂取する方が安心です。

必ず主治医に相談した上で、摂取してくださいね。

特定の薬を服用している人

クルクミンには肝臓への効果以外にも多くの作用を持ちますが

その1つに血小板凝集抑制作用があります。

ですので、肺塞栓症や脳塞栓症などの血栓塞栓症を予防、

あるいは治療中の人が服用する“抗凝固剤”を服用している人は、

その薬理効果を増強してしまう可能性があるのです。

 

抗凝固剤とは血液を固まりにくくする薬のことで、

ワルファリン(ワーファリン)やアセノクマロール、フェニンジオンなどがあります。

血栓を防ぐために使用される薬剤ですが、

反面、血液が固まりにくくなるために出血しやすい傾向になります。

クルクミンによって血液の凝固をコントロールできなくなる恐れがありますので、

服用中の人は摂取しないでください。

 

ウコン(クルクミン)の肝臓への効果は高く、古くから認められてきた植物ですが、

その薬効ゆえに、摂取に当たっては健康であることが前提条件です。

肝臓の一時的な機能低下に対しては効果が期待できますが、

肝疾患や他の病気がある人には悪影響を与えることもあります。

持病がある人はかかりつけの医師に相談してから利用するようにしましょう。