「吐き気」は体調不良の時に現れやすい症状です。

食欲不振を伴うことも多いため、

ついつい「消化器系の具合が悪いのだろう」と軽く見ていませんか?

でも、「吐き気」の中には肝臓の病気が原因で起こるものもあるのです。

ここでは「吐き気」と「肝臓」について、

吐き気を催す理由や肝疾患の詳細と、対策について紹介しています。

 

吐き気とは?

吐き気」とは一般的な表現ですが、医学的には“悪心(おしん)”と言い、

喉や胸から胃にかけて、胃の内容物を吐き出しそうな不快感を指します。

場合によってはめまい食欲不振なども含めることもあります。

 
一時的な吐き気の多くは、一種の防衛本能として起こるケースが多いです。

例えば、腐ったものを食べた時、食中毒や感染性胃腸炎を起こしたとき、

有害な薬物を摂取したときなどは、これらを吐き出して体を守ろうとしているわけです。

他に、平衡器官が乱れて生じる“乗り物酔い”や、

妊娠初期の“つわり”なども吐き気をおこしますね。

一方で、病的な原因によるものもあります。

胃炎などの消化器系の異常が代表的ですが、

中にはくも膜下出血のように脳内の異常による場合、

内臓の異常によって消化管に影響が起きている場合などもあります。

 
このように、吐き気の原因は色々ですが、

共通しているのは「延髄にある“嘔吐中枢”が刺激される」という点です。

これが刺激されると、胃の出口が狭まるのと同時に入口が緩み、

腹部や横隔膜の筋肉が収縮することで腹圧が高まります。

さらに、胃では逆流運動が生じて、胃の内容物を吐き出すわけです。

内臓に原因がある場合、

嘔吐中枢を刺激するのは求心性神経(迷走神経・交感神経など)で、

これを介して起こる反射性嘔吐によって吐き気を催します。

肝臓の病気でも吐き気を症状として訴えるケースは少なくありません。

次項で詳しく見ていきましょう。

 

吐き気と肝臓の病気

肝臓に病気がある場合、吐き気の症状が起こるのは一般的ですが、

症状が現れるタイミングや、吐き気以外の症状などに少し違いがあります。

ウイルス性肝炎

ウイルス性肝炎の場合、感染してもすぐに症状が現れるわけではありません。

しかし、ウイルスが体内で活動し始めると肝臓が炎症を起こし、

全身のだるさ・発熱・関節痛・頭痛などと共に、吐き気や食欲不振などの症状が現れます。

これらの症状は、いわゆる「風邪」の症状にとても似ていますね。

そのため、この段階で症状から肝炎を判断するのは難しいとされています。

しかし、続いて現れる黄疸は肝疾患の特徴的な症状です。

黄疸は体が黄色味を帯びる症状で、

黄色人種である日本人は肌での識別がしにくいため、眼球の白目部分が見極めやすい部位です。

黄疸が現れる頃には、吐き気などの初期症状が治まっている場合が多いのですが、

肝炎が治ったわけではありません。

症状が落ち着いてきても、治療は継続して行いましょう。

なお、黄疸は閉塞性胆管症など肝臓そのものに異常がなくても起こります。

また、A型肝炎では特徴的な症状として腹痛・下痢がおこることもあります。

慢性肝炎

肝臓の炎症が治まらず、

肝細胞の破壊と修復が6カ月以上続いている状態が慢性肝炎です。

一番多い肝臓の病気で、原因はウイルス性肝炎であることが多く、

特にB型とC型は慢性肝炎に移行しやすいと言われています。

また、アルコールや肥満による脂肪性肝炎自己免疫性肝炎などもあります(別項参照)。

長期にわたって少しずつ進行することもあり、

体が慣れてしまうのか自覚症状が少ないことが慢性肝炎の特徴です。

しかし、人によっては吐き気や食欲不振が現れることもあります。

このため、健康診断などで定期的に肝臓の状態を把握することが、

慢性肝炎の発見には重要です。

劇症肝炎

急性肝炎の約1%が劇症肝炎になるといわれ、その多くはB型肝炎ウイルスが原因です。

初期症状は急性肝炎と同じで、だるさや発熱、吐き気などを伴った風邪に似た症状が現れます。

しかし、通常の肝炎なら1週間くらいで回復へ向かうところ、

劇症肝炎では8週間以内に「肝性脳症」という意識障害を発症するほどに

肝臓の状態が悪化します。

これは、ウイルスから肝臓を守ろうとして免疫が過剰に働き、

広範囲の肝細胞を一気に壊してしまうためです。

こうなると肝臓の再生能力が追い付かず、急激に肝機能が低下してしまい、

命に関わる重篤な状態を招きます。

ウイルスの他、薬剤などの原因でも発症することがあります。

アルコール性肝障害

慢性的に大量のお酒を飲み続けていると、

肝臓に脂肪が溜まり、アルコール性の脂肪肝になります。

脂肪肝自体に自覚症状はありませんが、そのまま続けてアルコールを摂取し続けると、

約2割の人でアルコール性肝障害を発症すると言われています。

こうなると自覚症状が見られることも多く、

発熱、黄疸、右上腹部痛、肝臓の圧痛、食欲不振、嘔吐、下痢などが起こることがあります。

自己免疫性肝炎

正常な免疫では自分自身の組織を攻撃することはありませんが、

自己免疫性肝炎は何らかの異常により免疫によって肝臓の組織が壊されてしまう病気です。

自覚症状がないことが多いため、健康診断などで発見されるケースが多いようですが、

日本では50代以降の女性がかかりやすい傾向にあると言われています。

遺伝子が関与するとの報告もありますが、現段階では原因がはっきりしていません。

慢性的な肝炎として進行していきますが、

症状が出る際にはだるさ・発熱・食欲不振・吐き気・関節痛・黄疸など

ウイルス性肝炎とよく似た症状が見られます。

肝硬変・肝臓ガン

肝硬変肝臓ガンも、多くは慢性肝炎や脂肪肝を経て発症します。

こういった初期の肝疾患では、

前述の通り、発熱や吐き気を伴う風邪に似た症状が現れます。

しかし、肝硬変や肝臓ガンまで進行すると、その他の症状の方が顕著になってきます。

例えば、黄疸・意識障害・足のむくみ・手の震え・腹水などに加え、

男性では女性化乳房などがあります。

症状がなるべく軽度なうちに、肝機能の回復を図りたいですね。

 
吐き気は様々な要因によって引き起こされるので、

一時的な消化器系の不調によるものなのか、別の原因によるものなのか、

見極めることが重要です。

それには、吐き気と共に現れる他の症状と併せて判断することが大切です。

重篤な病気が隠れていることもありますので、必ず医療機関を受診しましょう。

 

肝疾患での吐き気の原因

では、肝臓が病気になると、なぜ吐き気や食欲不振といった症状が現れるのでしょうか?

これには、肝臓の代謝機能が低下することで

一種の中毒症状に似た状態になるからという見解もありますが、

原因ははっきりとしていません。

ただし、肝臓で起こった異常が他の内臓器官へ影響することは十分に考えられ、

その結果として吐き気を催している可能性があります。

この影響として、次の3つが考えられます。

吐き気への影響の原因

  1. 胆汁の減少
  2. 門脈圧の上昇
  3. の圧迫

 
また、これらの原因により消化器官の負担が増し、

その結果として下痢や便秘などの不調が現れることもあります。

それでは、この3点について肝疾患との因果関係を説明しましょう。

胆汁の減少

胆汁は肝臓で合成されるアルカリ性の液体で、

胆のうで貯蔵され、ここで濃縮されたのち、十二指腸へと送られます。

胆汁には「胆汁酸」という成分が含まれています。

食事から摂取した脂肪は、

まず胆汁酸が脂肪を乳化し、消化酵素“リパーゼ”が作用しやすい状態にすることで、

消化しやすくされています。

しかし、肝機能が低下して胆汁の合成量が減ると、

脂肪の分解過程がスムーズに進みません

同時に、胆汁はコレステロールの排出先ともなっているため、

体内のコレステロール量のコントロールも上手く行われなくなります。

これらが胸やけ・胃もたれなどの食欲不振、吐き気につながると考えらます。

門脈圧の上昇

肝臓にある門脈は消化管で吸収された栄養を肝臓へと運ぶ血管です。

ところが、肝臓の病気のうち肝硬変や肝ガンなどによって

肝臓の組織が壊れたり硬くなったりして血液が肝臓に流れ込みにくい状態になると、

門脈の血圧が上昇してしまいます。

すると、血液が門脈や肝臓を通過せずに直接静脈系に流れ込んでしまいます。

健康な状態でもこの経路を通る血液も少しはありますが、

門脈圧の上昇によってこの経路へと流入する血液が急増し、

門脈圧亢進症や食道静脈瘤などを起こしたりします。

一方で、門脈の圧が上がるために、胃から流れこむ血流の悪化を招くことにもなります。

その結果、胃がただれて「びらん」と呼ばれる状態になり、

胃が荒れて食欲低下や嘔吐を感じるようになります。

また、血液が肝臓をスムーズに通過できないために胃や腸での血流も滞りやすくなり、

臓器を構成する細胞の新陳代謝が低下しやすくなります。

すると、臓器がいわば“むくんだ状態”になり、

食べたものを蠕動運動などで先に送りにくくなってしまいます

これが、胃もたれや胸やけ、便秘などにつながり、

食欲不振や吐き気の症状となって現れると考えられます。

胃の圧迫

肝炎が進行したり肝硬変になったりすると、

門脈圧が上がるため右葉(肝臓の右側)は委縮して小さくなりますが、

左葉(左側)は大きく腫れあがります(腫大)。

もともと肝臓は成人男性で約1200gという、体内でいちばん大きな臓器です。

しかし、この腫れによって、

お腹に触れただけでも肝臓の位置がわかるほどにまで大きくなります。

肝臓の位置は腹部の右上で胃のすぐ近くにあります。

このため、肝臓が腫大すると胃を圧迫するようになります。

これが食欲不振や吐き気の原因になると考えられています。

 

吐き気を軽減する方法

肝臓の病気が原因で吐き気を催す場合、

基礎疾患である肝臓の状態を回復させないと症状は軽減されません。

まずは医師の指示に従い、治療を行いましょう。

同時に、消化管への負担を軽くすることも併せて行っていきましょう。

暴飲暴食はしないことは絶対条件です。

嘔吐中枢が刺激を受けていると、胃の出口が締まり、入口は開いた状態になっています。

胃の内容物が増えて内圧が高まれば、嘔吐しやすくなるのは当然ですね。

吐き気を感じて食事がとれないときは無理して食べることはありません。

無理に食べると嘔吐して、体力消耗、脱水などのリスクもあります。

脱水症状に注意して、小まめに水分の摂取を行いながら様子を見ましょう。

ただし、症状が酷かったり数日続いたりするようなら、

医療機関を受診して、点滴など適切な処置をしてもらいましょう。

また、しっかりと休養することも消化管の働きを良くします。

特に睡眠は重要ですよ。

肝臓が気になる方はサプリメントという選択も

吐き気にはいろいろな原因がありますが、

もし肝臓からくるものであれば、生活習慣改善などが必要です。

とはいえ、実際改善するのは大変なもの。

もし肝臓の問題をなるべく早く解決したいなら、肝臓サプリメントがおすすめです。

 

しじみや牡蠣など肝臓への効果が期待される栄養素が凝縮されており、

食事で摂取するよりも明らかに効率的に肝機能改善をおこなうことができます。