発熱があり、だるかったので風邪かと思っていたら「肝炎」だった…

実はよくある話です。

でも、なぜ肝臓の病気で熱がでるのでしょうか?

ここでは、肝機能が低下した場合に現れる「発熱」について、

そのメカニズムや肝臓の病気、その原因について詳しくお伝えします。

 

発熱とは?

簡単にいうと、「発熱」は私たちの体が持つ防衛システム“免疫”の作用の1つです。

この「免疫」という機能は非常に重要なので、

侵入者に対して何通りもの方法で素早く対応できるようになっています。

その1つの引き金になるのが「発熱」なのです。

発熱のメカニズム

免疫細胞が細菌やウイルスを見つけると、

これらを取り込む過程で「サイトカイン」という物質を放出します。

サイトカインは血液を介して脳に達すると、

「プロスタグランジン」という物質を作るように働きかけ、

この物質が脳内の視床下部にある体温調節中枢に働きかけます。

体温調節中枢は体の各部位に指令を出し、

筋肉を震わせたり、血管や汗腺を収縮させて熱の放出を抑制したりすることで、

発熱を促すのです。

発熱のメリット

では、なぜ熱を出すことが体を守ることになるのでしょうか?

それは、発熱によって

  • 外部から侵入してくる細菌やウイルスの増殖を抑制する。
  • 白血球の働きを活発にして、侵入者を排除する。
  • 免疫機能を高める。

などができるからです。

一般的な細菌やウイルスは、低温の方が増殖しやすい性質を持っています。

インフルエンザも気温が低い時期に大流行し、

春になって暖かくなると感染力が落ちてきますね。

この弱点を利用して、私たちの体は体温を上げて、

細菌やウイルスが増殖しにくい環境にしようとするわけです。

また、細菌やウイルスを攻撃したり取り込んだりする白血球は

体温が高い方が活発に活動できます。

俗に“低体温の人は風邪をひきやすい”と言いますが、ここに理由があるわけです。

さらに、このような免疫反応を繰り返すことで、免疫系の反応が素早くなっていきます。

子供よりも大人の方が感染しにくくなるのは、こういった学習効果があるからなんですね。

肝臓の病気と発熱の関係

なぜ肝機能の低下が発熱につながるのか…という点に関しては、

概ね次のように考えられています。

 
1つはウイルスへの反応です。これは主にウイルス性肝炎が該当します。

肝炎の多くはA型・B型・C型などの肝炎ウイルスに感染することで起こります。

日本人の肝炎の約80%が、肝炎ウイルスによるものと言われるほど多い原因です。

これらのウイルスに免疫系が反応した結果、発熱が引き起こされると考えらます。

 
もう1つは、肝細胞の炎症の結果として発熱するケースです。

肝炎ウイルス以外の原因でも、

肝臓は何らかのダメージを受け続けることで赤く腫れて炎症を起こします。

このとき、炎症を受けた細胞が回復しようとして放出する物質が

発熱の原因になることがあります。

 
また、肝機能が低下すると、

肝臓で産生されるべき物質が減少したり、血液循環が悪くなったりします。

その結果、免疫力が下がり、別の感染症にかかりやすくなるためだとも言われています。

 

発熱する肝臓の病気

因果関係ははっきりとしていませんが、

肝機能低下の症状として発熱が見られることは一般的な事実です。

ただし、初期症状は発熱や全身倦怠感などであり、

風邪などの一般的な感染症との見分けが困難です。

 
しかし、発熱には「4日ルール」と呼ばれるものがあります。

もともと、発熱は体内に侵入した細菌やウイルスを排除するための反応です。

ですから、通常の感染症であれば発熱後3~4日で下がることがほとんどです。

逆に、これ以上の発熱が続くようであれば、

肝臓疾患などの別の病気が潜んでいると考えられるわけです。

 
では、発熱する肝臓の病気にはどんなものがあるでしょうか?

代表的なものに「肝炎」があります。

肝炎には既に触れたウイルスのほか、

アルコールや薬、免疫の異常(自己免疫性肝炎)でおこるものもあります。

肝炎には一過性の急性肝炎と、6カ月以上症状が治まらない慢性肝炎がありますが、

この慢性肝炎が進行すると、肝細胞が線維化して固くなる「肝硬変」になります。

肝硬変がさらに進行すると「肝臓ガン」になる可能性もあります。

また、急性肝炎のうち、ごくまれですが「劇症肝炎」と呼ばれる

重篤な症状に陥ることがあります。

 
一方、アルコールや薬によって肝臓がダメージを受ける場合もあります。

特にアルコール性肝炎は、長年の飲酒によって肝障害がおきているところに

多量のお酒を連続して摂取することで発症します。

また、継続的なアルコールの摂取は肝臓に脂肪を蓄積させ、

「アルコール性脂肪肝」を生じます。

これも進行すると肝硬変や肝臓ガンになるので注意が必要です。

 
一方で、薬などの化学物質によって肝炎が引き起こされる「薬剤性肝炎」もあります。

たとえ病気の治療のために服用した薬でも、

人体にとっては異物であるため、肝臓は解毒しようと働きます。

しかし、中にはその薬剤自体がアレルギーを引き起こし、

過剰な免疫反応によって肝臓を攻撃してしまう場合があります。

これをアレルギー性肝障害といいます。

さらに、化学物質の中にはそれ自体に毒性があり、肝臓に損傷を与える場合もあります。

これは中毒性肝障害と呼ばれます。

自分の体質に合わない薬やサプリメント、漢方薬などで炎症が引き起こされることもあるので、

むやみに服用しないようにしましょう。

 

発熱と共に現れる症状

肝臓に炎症が起きた場合、発熱という症状が現れるのは決して珍しいことではありません。

ただ、肝機能が低下し始めた初期の段階では、

いわゆる“風邪”による発熱なのか、肝疾患による発熱なのかは

判断がつかないことが多いのです。

しかし、肝疾患の場合、病気の進行とともに特徴的な症状が現れてきます。

1つずつ見ていきましょう。

急性肝炎

ウイルス性の肝炎では、

感染していても発症していない期間(潜伏期)には自覚症状はほとんどありません。

しかし発症すると、前駆期間と呼ばれる初期段階では、

発熱のほかに全身倦怠感、頭痛、関節痛、筋肉痛、

悪心、食欲不振、右脇腹痛などが見られます。

続いて、皮膚や白目の部分が黄色味を帯びる「黄疸」が現れてきます。

黄疸とは、血液中のビリルビンという物質の濃度が高くなった時に現れる症状です。

肝臓ではビリルビンの処理を行っていますが、

機能低下によってうまく処理できなくなるために症状が現れます。

また、ビリルビンの排出先である胆管が何らかの原因で詰まってしまう「閉塞性黄疸」でも

発熱と黄疸が見られます。

劇症肝炎

急性肝炎の1%ほどが劇症肝炎を発症すると言われています。

劇症肝炎も初期症状は発熱やだるさなど急性肝炎と同様ですが、

続発症状として時間の経過とともに肝性脳症という意識障害が出るのが特徴です。

また、脳浮腫、感染症、消化管出血、腎機能低下などの重い合併症を引き起こすことが多く、

多臓器不全の病態を示し、命に関わる肝疾患です。

アルコール性肝炎

アルコール性肝障害がある人の飲酒量が増えると、

発熱のほか、腹痛・黄疸を伴って急激に発症します。

重症のケースでは肝不全や腎機能の低下を引き起こし、最悪の場合は死亡することもあります。

薬剤性肝炎

薬による場合は服用後1~4週間程度で発症することが多いようです。

薬剤性肝炎の多くはアレルギー性肝障害で、

この初期症状もウイルス性肝炎と同様、発熱・黄疸などがありあすが、

発疹・発赤・かゆみなどの皮膚症状が現れることもあります。

ただし、自覚症状が現れないこともあり、

血液検査を受けてはじめて気づくケースもあるほどです。

中にはハーブなどで発症することもありますから、自然のものだから安全と思い込まず、

サプリメントなどを飲む場合は体調の変化に注意するようにしましょう。

処方薬を服用する場合は医師の指示に必ず従いましょう。