肌は外部から確認できる数少ない器官です。

そこに現れる異常の中には、内臓の働きと深い関係を持つものもあります。

特に自覚症状が出にくい「肝臓」の機能低下を表すサインの可能性もありますので、

見逃したくないですね。

その症状の1つが肌の「ぶつぶつ」。

ここでは肝臓の機能低下を原因とする皮膚の異常のうち、吹き出物について解説しています。

 

「ぶつぶつ」について

ある日、突然肌に現れる小さな盛り上がり。

こういった「ぶつぶつ」の中には思春期特有の“ニキビ”と言われるものや、

20歳以降に繰り返し生じる“大人ニキビ”と呼ばれる吹き出物のほか、

じんましんなどもありますね。

ここではいわゆる「吹き出物」と称されるぶつぶつの中に潜んでいる

“内臓由来のもの”について触れていきます。

 

内臓と吹き出物の関係

「吹き出物」という言葉が示す通り、

このようなぶつぶつは体の内部から吹き出して生じたものです。

つまり、虫刺されやかぶれのような外因性と異なり、

“体の内側”にぶつぶつの原因が潜んでいるわけですね。

 
吹き出物は西洋医学では皮膚の炎症として診ますが、

東洋医学では内傷性として診断するくらい体の内側との関係を重んじています。

例えば、皮膚は汗や皮脂などを体外に出す「排出器官」としての役割も持っていますね。

そして、これらの成分である水分やミネラル・脂肪酸などは

血液によって皮膚の下にある真皮へと運ばれてきているわけです。

さらに、これらが血液中に入るためには、

飲食物として口、消化管、腸、腎臓、肝臓といった内臓器官を経由しています。

また、皮膚でこれらを排出するにはホルモンが作用しなければなりません。

このホルモンも内臓など体の内側で分泌されたものですね。

ですから、吹き出物は体の排出器官としての異常でもあり、

これらの経路のどこかに異常があるとみることもできるわけです。

 
吹き出物は皮脂腺などが詰まることでも生じますが、

この場合は肌を清潔に保つことで改善されます。

一方で、内臓に原因がある場合は、

清潔にしたり薬を塗ったりしても改善されないことがほとんどです。

「食べ過ぎると口の周りに吹き出物ができる」という経験をお持ちの方は、

胃腸の調子が回復すると吹き出物も治ることを体験済みでしょう。

これは内臓の回復が吹き出物の治癒に反映される好例だと言えますね。

スキンケアをしっかり行ったり、抗ヒスタミン薬などのかゆみ止めを使用したりしても

効果がない吹き出物は、内臓由来かもしれません。

他の症状などにも注意してみましょう。

 

吹き出物と肝臓の関係

吹き出物の原因となる内臓にはいくつかありますが、

中でも肝臓は深い関係にあると言われています。

それは、

  • 解毒作用の低下
  • ホルモン分解力の低下
  • 肝臓の合成物質の影響

が吹き出物の発生と関りをもつからです。

どのように作用するのか見てみましょう。

解毒作用の低下

皮膚は排出器官ですので、

尿や便のように体に不要な老廃物や毒素を体外に捨てる働きを持っています。

しかし、体には有害な物質を無毒化する「解毒」という機能があります。

これを担っているのが肝臓です。

肝臓が十分に機能していれば、毒素を無毒化することができます。

しかし、何らかの原因により肝機能が低下していると、

処理しきれなくなった毒素や不要物が血流にのって全身を巡ります。

皮膚はこれを排出しようとしますが、多すぎると毛穴が詰まり、

吹き出物ができてしまうと考えられています。

ホルモン分解力の低下

肝臓は多くの機能をもった臓器ですが、その1つに「黄体ホルモンの分解」があります。

黄体ホルモンはプロゲステロンとも呼ばれ、主に卵巣で分泌されます。

女性の体、特に妊娠の維持に欠かせないホルモンですが、

副腎皮質でも少量分泌されるため、男性にもあります。

肝臓には余分な黄体ホルモンを分解して、ホルモンのバランスを整える働きがあるのですが、

肝機能が低下すると黄体ホルモンが過剰になってしまいます。

ところが、この黄体ホルモンには皮脂の分泌を促進させる働きがあるため、

皮脂腺が多い体の部位で吹き出物が出やすくなってしまう、というわけなのです。

肝臓の合成物質の影響

「ぶつぶつ」の中には痒みを伴うものがありますね。

この痒みにも肝臓は無関係ではありません。

実は、肝機能が低下するとβ-エンドルフィンという快楽物質が

大量に作り出されることが知られています。

β-エンドルフィンは痒みを伝える神経に作用する働きがあり、

この痒みに反応して掻いてしまった結果、ぶつぶつができてしまうことがあります。

 
また、肝機能が低下すると、胆汁酸が血液中に多くなります。

この胆汁酸が皮膚に痒みを起こさせることが実験で確かめられています。

胆汁酸に含まれるビリルビンは、皮膚が黄色っぽくなる「黄疸」の原因にもなる物質ですので、

併せて確認すると良いでしょう。

これらの「ぶつぶつ」は前述の吹き出物とは異なり、

一つ一つが小さく多数生じることが多いです。

 

吹き出物が生じる部位

それでは肝臓の機能低下が起こると、体のどこに吹き出物が現れやすくなるのでしょうか?

β-エンドルフィンや胆汁酸の影響で痒みが生じ、

体のあちこちにぶつぶつが生じる場合もありますが、

手のひら、二の腕、顔、背中などに現れやすい傾向があります。

部位ごとに見てみましょう。

手のひら

手のひらに生じるぶつぶつは、痒みのためにできたものが多いです。

これは、肝機能の低下により作られたβエンドルフィンが作用する神経が

手のひらに多いことが原因です。

手のひらはたくさんの神経が集中している上に、何かと接触する機会が多いので、

痒みやぶつぶつが発生しやすい部位でもあります。

アレルギーや手湿疹などの可能性もありますが、

肝機能が低下していると黄色味を帯びる傾向がありますので、見極めの目安にしてくださいね。

二の腕

薄着の時期になると気になる“二の腕”のぶつぶつ。

専門的には「毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)」と呼ばれる皮膚病の1つです。

 
毛孔性苔癬は腕や脚に生じやすいのですが、

特に上腕部(二の腕)や大腿部の外側、臀部は発生しやすい部位です。

左右対称に生じる傾向があり、痒みを伴わないことが多いため、

他の皮膚病との区別がつきやすいという特徴があります。

中でも“二の腕”は露出頻度が高いため、美容の面から気にする女性が多く見らますが、

男女問わず発症すると言われています。

 
触るとザラザラするほどたくさん、しかも広範囲に発生するのも嫌ですね。

このザラザラは、皮膚の毛孔が角質(不要になった皮膚)で満たされ角栓となり、

毛孔が詰まった結果、その端が肌の表面に出っ張ってしまったものです。

炎症が起きていると赤っぽくなりますが、色の変化がない場合もあります。

 
毛孔性苔癬の原因は解明されていませんが、

遺伝的要因と生活習慣が関係していると考えられています。

また、皮膚の新陳代謝がスムーズに行われないことも悪化の原因と言われており、

これには肝機能の低下なども無関係ではありません。

肝臓は栄養素の代謝を行い、各器官に必要な物質を作り出すところです。

肝機能が低下して皮膚に必要な物質を作り出せないと、

皮膚は正常なターンオーバーを行えなくなり、老廃物で毛穴が詰まってしまいます。

さらに、肝臓の重要な働きの1つ“解毒作用”が低下してしまうと、

有害な物質の処理が滞って皮膚にこれらが溜まっていき、角栓の原因になってしまうからです。

 
こういった肝機能の低下には生活習慣の乱れによる“活性酸素”の発生が深く関わっています。

食べ過ぎ・飲み過ぎ・喫煙・ストレスなどは活性酸素を多く発生させるため、

肝臓に大きなダメージを与えてしまうのです。

毛孔性苔癬の発症率は肥満の人で高いことが報告されていますので、

生活習慣を見直すことも二の腕のぶつぶつ改善につながるかもしれませんね。

東洋医学では、体の悪いところは顔に現れるとされていて、

吹き出物もそのサインとみなします。

内臓の悪い部分は顔の特定の部位と対応しており、

例えば、おでこ・頬・口の周辺は胃・小腸、あごは婦人科系疾患、

鼻は肺・大腸などと言われており、肝臓の場合は「目の周り」「こめかみ」が該当します。

しかし、もともとこの辺りに生じる吹き出物は「血の不調」で生じるとされるものです。

それが、なぜそれが肝臓の不調を表すのでしょうか?

 
肝臓は血液によって運ばれてくる栄養素の代謝や解毒などの働きを持ち、

その処理のために大量の酸素を消費する器官です。

また、肝臓で作られた物質は血液を介して体の隅々まで届けられます。

このため、肝臓には特別な血管である「肝門脈」がありますし、

大量の血液が循環しているために赤黒い色をしています。

ですから、肝臓の不調は血液にも変化を生じますし、

血液が正常でなければ肝臓にも影響が生じます。

このように、肝臓は血液と深い関りを持つ臓器なので、

肝臓の異常は「血の不調」として現れるわけです。

 
また、Tゾーンと呼ばれるおでこから鼻にかけての皮脂分泌が活発な部位も、

肝機能の低下に関係があると言われます。

これは、肝臓で行われる脂質の代謝がスムーズに行われていないためや

黄体ホルモンの影響とされ、油っぽいものや炭水化物を食べ過ぎたときに多く見られます。

背中

背中は吹き出物ができやすい部位です。

その理由は、「汗腺の多さ」と「ケアのしにくさ」にあります。

 
背中は汗腺が多いため、汗をかきやすいですね。

つまり、分泌物が多いわけです。

それなのに、清潔を保つのが難しい場所でもあります。

背中を洗うのも一苦労、そのあとローションなどを塗るのも大変ですよね。

清潔を保てないとアクネ菌などの細菌が繁殖しやすくなり、

吹き出物も炎症を起こしやすくなります。

このため、背中は吹き出物を生じやすく治しにくい場所なのです。

 
肝臓の機能低下が吹き出物の発生に関係することは前述の通りですが、

背中は吹き出物を生じやすいため、肝機能の低下に早く気付ける部位であるとも言えますね。

見つけにくいという難点もありますが、

背中に吹き出物が生じたら肝臓を労わるようにしましょう。

 

原因となる肝臓の病気

吹き出物は、肝臓の細胞が炎症を起こして

本来の働きができなくなっている証拠として捉えることができます。

こういった肝機能の低下はウイルス性の肝炎でも生じますが、

食べ過ぎやアルコールの摂り過ぎなどによる脂肪肝・アルコール性肝障害でも起こります。

肝臓は栄養素の代謝や解毒を行う器官なので、

その仕事にかかりっきりにさせてしまうと、

必要な物質の合成や分解に手が回らなくなってしまうのです。

その結果、皮膚にも栄養素が届かなくて新陳代謝が滞ったり、

老廃物が蓄積したりして、吹き出物の発生につながってしまいます。

 
もちろん、脂肪肝やアルコール性肝障害が進行した「肝硬変」では

著しい肝機能の低下を示します。

この段階になると吹き出物だけでなく、

黄疸などの症状も併発することが多くなります。

 
肝臓は「沈黙の臓器」といわれるほど症状がでにくいのですが、

そんな中でも「吹き出物」は自分で把握できる数少ない不調の現れです。

「たかが吹き出物」と見逃さず、肝臓に負担をかけるような生活を送っていなかったか、

振り返ってみることが重大な肝疾患を予防することにつながります。

吹き出物を見つけたら、生活習慣を見直すようにすると良いですね。