体の疲労感と共に現れる症状に「めまい」があります。

めまいがすると貧血だと思う人も多いのですが、

全く違うところに原因があることも考えられ、見過ごすことは危険です。

ここでは、「めまい」の中でも肝臓の機能低下によって生じるものについて、

そのメカニズムや改善する方法についてお伝えします。

 

めまいの原因とメカニズム

「めまい」に似た症状に「立ちくらみ」がありますね。

ですが、医学的には「立ちくらみ」は「めまい」の一種とされていて、

原因も別の場合が多く見られます。

例えば、めまいは脳や耳、内臓などに異常があるときに起きますが、

立ちくらみは脳への酸素の供給不足が原因で起こります。

貧血による立ちくらみも、脳の酸素不足が原因ですね。

また、明確な区分はありませんが、症状も少し違います。

立ちくらみでは目の前が真っ暗になったり真っ白になったりすることが多いのに対し、

めまいは景色が見えていることが多く、その景色がぐるぐる回ったり、

足元がフワフワすることで歪んで見えたりすることが多いと言われます。

ただし、めまいや立ちくらみの感じ方や表現には個人差がありますので、

必ずしもこの通りとは限りません。

また、脳への酸素不足で貧血が起こったとしても、

その原因は血圧にあったり、心臓にあったり、鉄分の欠乏にあったりと様々です。

症状が続くなら、医療機関を受診しましょう。

肝臓以外によるもの

では、「めまい」について原因をもう少し詳しく見ていきましょう。

私たちがふらつかないのは、体の平衡を保っていられるからですね。

これを支配しているのが、耳にある「三半規管」や自律神経です。

特に、三半規管を含めた耳の異常は、

ぐるぐる回るタイプのめまいの原因であることが多く見られます。

三半規管にリンパ液が溜まることで発生する「メニエール病」は

こういった回転性のめまいが特徴的な症状です。

なぜリンパ液が溜まってしまうのかという原因は不明ですが、

一因としてストレスが関与していることがわかっています。

 
また、腎臓の異常でもめまいが発生することが知られています。

これは赤血球を作る際に関係する「エリスロポエチン」という物質が

腎臓で産生されているため、腎機能が低下することで赤血球不足になり、

その結果として生じます。

 
その他、高血圧や更年期障害などで生じる場合もあります。

何度もめまいを感じるようなら、症状を軽く見ずに医療機関を受診することをお勧めします。

肝機能低下によるもの

めまいの症状で医療機関を受診すると脳や耳、血圧の検査をされることが多いのですが、

これらに異常が見られなかった場合、

肝臓の機能が低下したことが原因で発症しているケースも考えられます。

意外に思う人もいると思いますが、その理由は次の通りです。

 
肝臓は「代謝」「解毒」「胆汁の合成」など非常に多岐にわたって仕事をこなしています。

そして、これらを行うために

栄養素などの様々な物質や酸素などを供給する「血液」を大量に必要としています。

肝臓への血流が不十分であることは、他の器官への供給にも問題が生じている可能性が高く、

そのため、血液の供給異常による症状と肝臓の状態は相関があると考えられます。

これは“一つの原因が体全体に影響する”と考える東洋医学で特に重視され、

「諸風掉眩、皆肝に属す」という言葉が示すように

「めまいと肝臓は深い関係にある」と言われています。

また、肝臓は自律神経の働きを調整していると考えられており、

これが体内の血液循環にも大きく関与していると捉えます。

そのため、東洋医学では肩こりや更年期にも肝が関係しているとし、

逆に目や神経の使い過ぎ・ストレスなどは肝を弱めると言われます。

 
実際に、肝臓は自律神経の支配を受けており、

それによって血糖値を調整する肝機能は強くコントロールされています。

また、解毒作用によって毒性の高いものを分解したり、

胆汁中に有害物質を排出したりすることで、

血液をきれいな状態に保つのも肝臓の働きによるものです。

血液が肝臓へと十分に行きわたらないことは、

巡り巡って脳や耳への酸素や栄養分の供給にも影響しますし、

自律神経の乱れにも関係してきます。

血行や血液成分、自律神経の乱れがめまいに関与することを考えると、

洋の東西を問わず、肝臓と深い関りがあるとするのも納得ですね。

 
肝臓の機能が低下しているかどうかは、

血液検査をすれば比較的簡単に把握することができます。

肝機能の異常を示す項目は、「AST」「ALT」「ɤ-GTP」などです。

脳や耳、血圧などに直接的な異常が見られなかった場合は、

血液検査を受けてみると良いでしょう。

 

考えられる肝臓の病気

肝機能低下によるめまいは、一時的な肝臓の疲れでも生じます。

例えば、暴飲暴食、肉体的疲労、ストレスなどが原因となって起こります。

これらは肝臓の仕事量を増やす上に、肝臓が回復する機会を奪うことにもなるため、

肝機能が低下してしまうのです。

その結果、血液や自律神経に影響を及ぼし、めまいの症状として現れることがあります。

 
さらに、日常的に食べ過ぎ・飲み過ぎを繰り返したり、過度のストレスを受け続けたり、

睡眠不足が続いたりすると、肝臓の疲れも慢性化していきます。

働き続けた肝細胞はダメージを受け、

回復できないまま線維化して「肝硬変」になったり、

脂肪が蓄積して「脂肪肝」になったりします。

脂肪肝も悪化すれば肝硬変へと進行する可能性がある恐ろしい病気です。

めまいなどの症状が軽微なうちにしっかりと肝臓のケアをしておきましょう。

 

改善する方法

めまいを繰り返すなら、まずは医療機関を受診するのが一番です。

めまいは様々な要因で起こりうる症状です。

思わぬ病気が隠れている可能性もありますので、診断を受けましょう。

 
しかし、治療を開始したとしてもめまいの症状がすぐに無くなるとは限りません。

特に肝機能の低下を原因とするめまいの場合は、

肝機能が回復する(肝臓が再生する)までの期間、症状が続くこともあります。

それでは日常生活に差し障りがありますし、何より辛く、不安でもありますよね。

そこで、肝機能が回復するまでの間、

少しでもめまいの症状を和らげる方法を紹介します。

生活習慣の見直し

肝臓は非常に再生力の優れた臓器ですので、このサポートをしていきましょう。

そのために大切なのは、生活習慣の改善による「肝臓の休息」です。

肝臓が多くの仕事をこなしていることは既に触れましたが、

その負担を少しでも軽くするようにしましょう。

負担を軽減できれば、残りのエネルギーや労力を肝臓の再生に回すことができますね。

 
まずは、暴飲暴食をやめること。

肝臓の主な働きの1つに栄養素の代謝があります。

中でも糖質の過剰摂取は肝臓をフル稼働させることになるので避けましょう。

糖質とは米・小麦・ジャガイモなどのデンプン質の食材のほか、

果物やジュース・菓子類に含まれる糖分、お酒などが該当します。

これらを控えることで肝臓の負担をかなり軽減することができます。

 
そして、適度な運動と睡眠をとることも重要です。

運動は体内の血液循環を促進し、肝臓に必要な栄養や酸素の供給量を増やしてくれますし、

脳への血液量も増えますので、貧血性のめまいの軽減にもつながります。

また、運動することでストレスを解消し、自律神経の調子を整えることができますし、

適度な疲労によって深い睡眠が得られます。

睡眠中は肝臓が回復する時間です。

ですから、運動と睡眠をバランスよく取ることは、

肝機能の改善に効果的と言えるのです。

ツボ

東洋医学ではめまいは肝臓やそれに通ずる血液循環との関係が深いと考えられることから、

めまい解消のツボは肝臓や血行のツボと重複していることが多くあります。

また、体の上部の不調は足のツボで改善される傾向があります。

代表的なものを紹介しましょう。

《大敦 》

足の親指の爪の生え際の角、外側から2㎜くらいのところです。

ぐるぐる回るタイプのめまいのほか、

目の疲れや充血、婦人病にも効果があるとされています。

 

《侠谿》

足の4番目と5番目の間(指の股の部分)にあります。

めまいのほか、耳鳴り、胆のうの病気にも効果があります。

 
さらに、肝機能の改善に効果的なツボとして「肝兪」があります。

《肝兪》

背中の真ん中あたりで、背骨から左右3~4cm外側にあります。

肝臓にも近く、血流の改善にも効果的です。

 
また、血行促進のツボで刺激しやすい「百会」は

自律神経の乱れを整え、めまいを軽減してくれます。

《百会》

両耳の最高部を結んだ線と中心線の交わるところにあります。

指の腹で刺激すると気持ちが良いので見つけやすいでしょう。

爪楊枝を10本くらい輪ゴムで束ねて、

トントンと軽くたたくように刺激するとさらに効果的です。

 
百会は“万能のツボ”とも呼ばれています。

強く押す必要はありません。気持ち良いと感じる強さで刺激すれば良いでしょう。

漢方薬

漢方には体内の“風”の流れを鎮めることでめまいの症状を緩和するという考えがあります。

これに使われるのは「鎮肝熄風湯」などですが、

めまい以外の症状によって「補中益気湯」「四逆散」「帰脾湯」をはじめ、

様々な種類があります。

専門の漢方医の指導を受けると良いでしょう。

ただし、肝臓疾患や他の病気で治療中の人は必ず主治医の許可を得ましょう。

医療機関によっては薬局で漢方を処方してくれることもありますよ。

自分で買い求める場合は、使用中の薬剤などを漢方医に伝え、

処方してもらうようにしましょう。